エージェンティックコマースの現状と未来
近年、エージェンティックコマースと呼ばれる新しい購買体験言葉が注目を集めています。これはAI技術を利用して、消費者の購入行動を支援する仕組みです。最近、株式会社ネットプロテクションズ(以下、ネットプロテクションズ)が実施した「エージェンティックコマースの購買・決済に関する実態調査」の結果が発表され、興味深いデータが明らかになりました。
調査の概要
ネットプロテクションズが運営するシンクタンク「NP総研」が行った調査では、直近6ヶ月以内にネットショッピングを利用した20~65歳の男女1,000人を対象に、AIを活用した購買行動についての実態を探りました。この調査は昨今のAIサービスの普及状況を知る上で非常に重要です。
調査結果の要点
調査の結果、AIサービスを「毎日使う」または「週に数回使う」と回答した人が43.9%に達し、日常生活におけるAIの浸透が見られました。しかし、購入や決済までAIに任せるという人はわずか2.2%にとどまり、依然として心理的な障壁が存在することが分かりました。
特に、BNPL(後払い)サービスの利用者は、AIをした購買行動を経験している比率が81.7%と高く、AIによる決済提案に対する利用意向も83.7%に達しています。これらの結果は、エージェンティックコマースが特にこの層において急速に受け入れられていることを示しています。
消費者の期待
さらに、AIに期待する役割の多くは商品の認知や比較・検討支援に集中しており、購買前の支援が求められていることが分かります。具体的には「商品の比較・選択の自動化」が30.2%、「高精度な商品の発見・提案」が27.1%というデータが出ています。一方で、支払い方法の自動選択は1割未満であり、決済行為におけるAIの利用は慎重という結果が表れています。
特に「日用品・消耗品」や「家電・デジタル機器」に対してのAIを活用した購買希望が高いことから、購買頻度が高く、比較要素が多い商品ほどAIの導入が期待されているようです。
購入・決済への慎重さ
さらに調査によると、AIに全てを任せることに対して消費者はあまり積極的ではないことも伺えます。たとえば、購入・決済をAIに完全に任せてもいいと回答した人はわずか2.2%でした。決済時には「自分で最終確認を行いたい」といったニーズが強く、利用者が安心してAIを活用できるような透明性のある判断プロセスが求められています。
特にBNPLの利用者は、最終確認や提案理由の明確性を求めており、AI技術を高く受け入れながらも、しっかりとした自分の目線での確認を重要視しているようです。この傾向は、全体の購買体験におけるAIの役割の変化を示唆しています。
今後の展望
エージェンティックコマースは、AIエージェントを通じた新しい購買体験の実現を目指しており、ネットプロテクションズは、KYA(Know Your Agent)を含む研究などを通じて、信頼される決済UXの構築を進めています。消費者の意識が変わる中で、AIに依存するのではなく、AIの提案と利用者の最終判断を組み合わせるアプローチが求められています。
このように、エージェンティックコマースの導入が進む中で、さらなる信頼性をもたらす仕組みの開発が急務となってくるでしょう。ネットプロテクションズが今年の調査結果を基にどのような新しい取り組みを進めていくのか、今後の動向に注目です。