Green CarbonとRegrowの戦略的提携
近年、気候変動に対する取り組みが世界的に高まっています。その中でカーボンクレジットは、炭素排出の削減を促進する有効な手段として注目を集めています。そんな中、ネイチャーベースのカーボンクレジット事業を展開する
Green Carbon株式会社(以下、Green Carbon)は、アメリカの農業気候テクノロジー企業
Regrow Agriculture, Inc.(以下、Regrow)との間で、技術連携の覚書(MOU)を締結しました。
覚書締結の背景
Green Carbonは、自然由来のカーボンクレジットを創出するために、東南アジアを中心に様々なプロジェクトを推進しています。特に、森林保全や水田管理、マングローブ植林、牛のゲップ削減など、多岐にわたる取り組みが特徴です。この度、Regrowが保有するDNDCモデルと、Green Carbonが展開するカーボンクレジット創出支援プラットフォーム
Agreenを連携させ、高精度なカーボンクレジット創出を目指します。
技術的背景
DNDCモデル(DeNitrification-DeComposition)は、農業の排出量を精緻に分析するための技術です。これをRegrowが提供し、Green CarbonのAgreenプラットフォームが農家から収集した各種データを活用することにより、メタンガスや二酸化炭素の算出が可能になります。この連携によって、今まで算出が難しかった圃場全体のデータを高精度に扱えるようになります。これにより、カーボンクレジットの創出と販売を一気通貫で実現することが可能となります。
AWD技術の導入
また、Green Carbonは、アジアでの水田管理の手法として
AWD(間断灌漑)を導入します。これは、水田において適切な期間の湛水と乾燥を繰り返すことで、メタンガスの排出を削減しながら水の使用効率を向上させる手法です。このプロジェクトでは、衛星データを活用してモニタリングも行い、効率的かつ透明性の高いプロジェクト運営を実現します。
具体的な展開計画
第1フェーズとして、すでにVerraやGold Standardにリストされているベトナムの水田プロジェクトを進めるとともに、フィリピンでの二国間クレジット(JCM)プロジェクトにも着手していきます。2030年までに、この手法を広く展開し、AWDの他にもバイオ炭やカーボンファーミングといった方法論を通じて、さらに多くの農業プロジェクトに広げていく計画です。
期待される成果
今後、環境に配慮した農業手法が普及し、より多くの農家がカーボンクレジット市場に参加することが期待されます。これにより、農業からの炭素排出を削減するとともに、グローバルな脱炭素目標の達成にも寄与するでしょう。Regrowの最高科学責任者
Bill Salas氏は、「我々のDNDCモデルとGreen Carbonの現場経験を組み合わせることで、農業分野におけるカーボン市場の信頼性と拡張性を高めることができる」とのコメントを寄せています。
まとめ
Green CarbonとRegrowの提携により、高品質なカーボンクレジットの創出が加速され、持続可能な農業と環境保全が一体となった新しいモデルが形成されることが期待されます。
この戦略的提携が、持続可能で環境に優しい未来を築く一助となることを祈るばかりです。