ABCラジオ制作の番組が受賞
2025年7月2日、2025年度日本民間放送連盟賞・ラジオ近畿地区審査会が開催され、ABCラジオが制作した「ダウン症で、幸せでした。~10年追いかけて分かった幸福の秘密」が教養番組部門で1位に輝きました。この番組は近畿地区を代表して、さらに中央審査へ進むことになり、結果は9月に発表される予定です。
番組の背景
「ダウン症で、幸せでした」は、2014年に放送された「ダウン症は不幸ですか」との続編にあたります。当時、出生前診断の普及によりダウン症のある胎児が中絶される現実が問題視されていました。それから約10年の時を経た今、家族や当事者はどのように暮らしているのか、また社会はどのように進展しているのかを探る内容となっています。
この番組では、ダウン症のある子どもを育てる家族や専門家の視点から、社会の変化と課題に焦点を当てています。新しい検査技術がもたらした影響や、当事者たちがどのように幸せを見出しているのかを浮き彫りにし、「命の選別」といったテーマについても率直な意見を交えながら考える機会を提供しています。
出演者の紹介
番組の出演には、日本ダウン症協会の玉井浩氏や作家の姫路まさのり氏、また就労継続支援事業所「ほっとショップ笑恵」の喜井晶子さんが参加しています。さらに、実際にダウン症のあるお子様を育てている松原家や、養子に迎えたダウン症の男児を持つ梶原家など、さまざまな家族が登場し、彼らのリアルな日常や感情が語られます。
特に、当時2歳だった佑哉君の成長や高校生活を振り返る松原家の姿が強く印象に残ります。また、リサイクルショップで働く喜井さんは、共に働く人々との絆を語り、当事者の生活の明るさを示しています。
番組のメッセージ
この番組が伝えるのは、ただの情報ではありません。「家族とは」「幸せとは」という問いかけです。検査の普及によって、社会はどのように変わっているのか、そしてダウン症のある子どもたちが持つ力は何かを考える貴重な機会をリスナーに提示しています。最後には、すべての出演者が同じ言葉を発し、「ダウン症で、幸せでした」というフレーズが、番組全体のエッセンスとなっています。
日本民間放送連盟賞とは
日本民間放送連盟賞は、質の高い放送を促進することを目的に1953年に設立された賞です。この目的から、CM制作や技術開発だけでなく、社会貢献活動にも焦点を当てており、今回の受賞もその一環として位置づけられます。ABCラジオのこの受賞が、今後の放送活動にどのように寄与していくのか、その動向に注目です。