熊本高専が開催した支援技術フォーラム「Japan AT フォーラム 2024 in 東京」レポート
熊本高等専門学校(熊本県八代市・合志市)は、2024年10月23日(水)に日本マイクロソフト株式会社(品川オフィス)にて「Japan AT フォーラム 2024 in 東京」を開催しました。
このフォーラムは、高専が開発してきた最新の支援技術(AT)の動向を当事者や支援者の方々と共有し、開発者・研究者並びに学生が一同に介するイベントで、今回が11回目の開催となりました。
フォーラムの目的
デジタル技術の進展により高度化が進む支援技術(AT)の全国的な普及を目的として、利用者となる当事者(障害者)、支援者(ご家族、福祉関係者、医療関係者、自治体)、開発者・研究者(及び学生)の3者が交流する場を用意することで、より良い支援技術の方向性を探求することを目的としています。
フォーラムの概要
フォーラムは、日本マイクロソフト株式会社(品川オフィス)にてハイブリッド形式で開催され、会場と参加者をWeb会議システムで結び、対面とオンラインによる参加が可能でした。全国の高専生、教職員、企業や団体など、各方面から91名の方々が参加しました。
フォーラムは、独立行政法人国立高等専門学校機構による GEAR5.0 (未来技術の社会実装教育の高度化)の事業における「持続可能な地域医療・福祉を支えるAT-HUB構想とAT技術者育成による共生社会の実現」のプロジェクトの一つで、第11回となる今回は、一般社団法人日本支援技術協会と独立行政法人国立高等専門学校機構(主担当熊本高等専門学校)が主催となり、開催しました。
フォーラムの内容
午前中は、日本マイクロソフト株式会社執行役員 常務 最高技術責任者(CTO)野嵜 弘倫 様、ならびに技術統括室 クオリティエンジニア 博士(医学)千葉 慎二 様より「アクセシビリティを支えるマイクロソフトのテクノロジー」についての講演がありました。また、日本支援技術協会理事清田公保氏から「DAAの活動」と題して、協会の活動と認定資格の説明がありました。昼食の時間には、高専AT関連の成果物のデモ展示とランチタイム意見交換会が行われ、参加者同士の対話と意見交流の時間を設けました。
午後は、基調講演と研究成果発表が行われました。基調講演では、社会福祉法人東京聖新会 特別養護老人ホームフローラ田無 理事 (施設長)・アイルランド国立大学ダブリン校 日本研究センター 招聘研究員 (フェロー)の尾林和子様より「若い技術者に期待する~介護者としてICT・ロボティクスと格闘した経験から~」と、帝京大学教育学部 初等教育学科 教授金森 克浩 様より「特別支援教育とデジタルアクセシビリティ」についての講演がありました。
研究成果発表では、8高専1団体、計23名の学生や教員、一般参加者が研究発表を行いました。
研究成果発表表彰者
〇最優秀賞
受賞者:徳山工業高等専門学校奥田颯大
発表題目:「誰もがワクワク・ひらめくプログラミング講座~障害の有無を問わないプログラミング教育~」
〇優秀賞
受賞者:熊本高等専門学校坂田由利菜
発表題目:「なぞり読みシステム”TouchTalker”の障害者利用に向けたKME(多機能)スイッチインタフェースの開発」
受賞者:長野工業高等専門学校牧内武
発表題目:「聴覚障害者のための深層学習を用いた警告音通知システムの開発」
受賞者:熊本高等専門学校森海
発表題目:「分身ロボットの視線操縦システムについて」
GEAR5.0について
国立高専機構が立ち上げたGEAR 5.0事業(未来技術の社会実装教育の高度化)における「介護・医工」分野では、中核拠点校である熊本高専と、協力校6校(函館・仙台・長野・富山・徳山・新居浜)を中心に、「持続可能な地域医療・福祉を支えるeAT-HUB構想とAT技術者育成による共生社会の実現」をテーマとして活動しています。
熊本高等専門学校について
熊本高等専門学校は、昭和18年設立の熊本無線電信講習所を前身とする熊本電波工業高等専門学校と、昭和49年設立の八代工業高等専門学校が再編されて、平成21年10月に設立されました。2つのキャンパスに6学科・2専攻を有し、ICT技術を共通基盤とし、電子情報系と融合・複合工学系分野を特徴とする高等教育機関であり、国際的に通用する実践的・創造的技術者の育成と科学技術による地域社会への貢献を使命としています。