MPower PartnersがTranscelestialに出資し次世代通信インフラを拡張

最近、MPower Partnersはシンガポールに本社を持つレーザー通信技術のスタートアップ、Transcelestial Technologiesに出資を行いました。通信量が急増する現代において、高速で安全、しかもコスト効率の高い通信インフラの拡充が喫緊の課題とされており、その解決策として「自由空間光通信（Free-Space Optical、FSO）」技術が注目を集めています。

Transcelestialは、CEOのRohit Jha氏とCTOのMohammad Danesh氏により設立された企業で、レーザー通信をインフラとして日常的に利用できる技術の開発に力を入れています。彼らの提供するFSOデバイスは、煩雑な地下ケーブルの配線や電波ライセンスを必要とせず、光ファイバーに匹敵する通信品質を実現することから、通信環境の改善とともに、特に防災や防衛など重要な分野において効果的なソリューションと期待されています。

同社の主力製品「CENTAURI」シリーズは、すでに多くの通信事業者に採用され、高速無線バックホールや冗長ネットワークを構築するために活用されています。また、宇宙航空業界においても、その技術は衛星間通信や地上と宇宙間のレーザー通信に利用されており、技術の応用の幅は広がっています。

今回の出資は、MPower Partners Fund IIの第2号案件として位置付けられ、しっかりと日本市場に根づく通信インフラの強化に寄与するものとされています。Transcelestialの革新的な技術は、日本のデジタルインフラの向上に貢献し、民間セクターや公共機関、さらには防衛関連の通信手段にも応用が期待されます。

CEOのRohit Jha氏は、「日本では、地理的な要因を超えて強靭な通信インフラへの需要が高まっている」と述べており、既に国内の主要通信事業者との協力関係も進められています。また、Transcelestialは、短期間での設置が可能なレーザー通信技術の実績を示すために、大規模イベントや防衛関連のトライアルプロジェクトにも挑戦中です。

MPower Partnersのゼネラル・パートナーであるキャシー松井氏は、Transcelestialへの投資が日本の强靭な通信インフラを速やかに実現することになると強調し、特に災害時にも頼りにされるネットワークの整備が進むと期待を寄せています。さらに、地上から高高度プラットフォーム（HAPS）や低軌道衛星（LEO）への展開は、将来的な光通信の進化に向けた重要な基盤となると考えられています。

Transcelestialが目指す「レーザー通信を日常のインフラへ」というビジョンは、急速に変化する通信の需要に応えるものであり、MPower Partnersは日本におけるこの技術の普及と成功に向けて、事業開発や官民連携の促進に多角的な支援を行う計画です。日本市場の特性を活かし、今後もTranscelestialの成長を支援するためのネットワーク構築を進めていくとのことです。

Transcelestial及びMPower Partnersの取り組みは、通信の未来を見据えた重要なステップであり、持続可能な社会の実現に向けた一助となるでしょう。