近未来の人間性をテーマにした落合陽一の最新アートプロジェクト

メディアアーティストの落合陽一が手がける新たなアートの挑戦『HUMAN / CODE ENSEMBLE』が、2022年11月に神奈川県立音楽堂で開催されました。本プロジェクトでは、古楽器、メディアアート、パフォーマンスアートが融合し、ポストコロナ時代における「身体性」というテーマを深く探求します。落合は、世界初演となるこの作品を通じて、近未来における新たな「ヒューマニティ」の姿をアーティストたちと共に描き出します。

様々な分野のアーティストたちとのコラボレーション

本公演では、古楽器奏者の小川加恵やパフォーマンスアーティストのステラークと共に、イギリス在住の日本の作曲家、藤倉大がコラボレーションを行いました。使用された古楽器は、バッハやモーツァルト、ショパンといった偉大な作曲家たちが使用したオリジナルの楽器やその複製です。特に「チェンバロ」や「フォルテピアノ」といった鍵盤楽器は、当時の人間の感情や思考のレガシーを現代に伝える貴重な存在となり、観客に強い感銘を与えます。小川は、これらの楽器が「人間の感情を表現するための拡張具」として重要であると唱え、演奏しています。

一方、ステラークは、「人間の身体は廃れている」というテーマの下で数十年にわたりパフォーマンスアートを展開し、身体の拡張に関する独自の視点を提供しています。彼の活動は常に革新的であり、彼の身体性を通じて新たな人間観を示すことに挑戦しています。

身体性と共感覚性の再考

本公演では、体全体を使った表現を通じて、人間の「身体性」や「共感覚性」がどのように変化しているのか、さらには今後どのように社会と共存していくのかを問いかけます。近年、私たちの生活環境は急速に変化し、オンライン化が進む中で、アートは新しい時代の象徴として重要な役割を果たしています。落合は、このアンサンブルを通じて、現在から未来にかけての人間のあり方や、アートが私たちの生活にどのように貢献できるかについて深く考察しています。