廃漁網から新たな価値を生むamu、1.32億円を調達し成長へ向けて加速
日本の気仙沼に本社を置くamu株式会社は、廃棄漁具のアップサイクルを手掛ける革新的な企業です。このたび、同社はシードラウンドで約1.32億円の資金調達を行い、持続可能なビジネスモデルをさらに強化することに成功しました。これにより、セールスや広報の強化、海外での新規市場開拓、漁網回収網の構築を推進し、グローバルな展開へと踏み出す姿勢を明確にしています。
「いらないものはない世界をつくる」
amuの掲げるビジョンには、廃棄物を新たな価値に変えるという強い意思が込められています。これは、漁業から排出される漁具の65%以上が海洋プラスチックごみの元凶とされる現状に対する解決策でもあり、海洋生態系への影響を考慮した重要な取り組みです。どのようにして、廃漁網が新たな資源へと転換されるのか、具体的なプロセスを見ていきましょう。
周知されにくい漁業ごみの実態
環境省によると、日本の海岸に漂着する海洋プラスチックごみの約59.5%が漁業関連のごみです。これらは、無責任に捨てられることなく、適切に処理されることで初めて価値を生み出します。しかし、現在の処理方法では焼却によるCO2排出や埋立処理に対する環境負荷が大きな問題とされています。さらに、高額な処理費用は漁師自身の負担となり、経済的な苦境を招いていることも事実です。
この状況を打破するため、amuは漁具の回収からリサイクル、そして販売までの一貫したシステムを整え、廃棄漁具に新たな価値を見出しています。使用済み漁具を買取り、加工を加えることで生まれる再生素材「amuca®」は、製品開発にも広がりを見せています。
資金調達の具体的な利用計画
1.
セールス・広報体制の強化
国内外での認知度を高めるため、優れた人材を確保し、広報活動を強化します。顧客との接点を増やし、製品の価値を広めていく予定です。
2.
漁網回収網のグローバル展開
既に日本国内で50以上の漁港を訪問した経験を生かし、世界中での回収網を構築します。安定した資源供給を目指すとともに、環境へ与える効果を大きく広げようとしています。
3.
海外市場への本格的な進出
これまでの経験を生かし、国際市場での販売を強化し、グローバルなブランドの確立を図ります。
出資者の期待と支援
今回の資金調達には、一般社団法人AgVenture Lab、株式会社TeamMake Capital、フィッシャーマンジャパン・ブルーファンドなど複数の出資者が名を連ねています。特に、AgVenture Labは持続可能な開発を支援することで、amuのビジョンに共感し、出資を決定したとコメントしています。
出資者の一人であるTeamMake Capitalの松永社長は、加藤氏のリーダーシップを評価し、amuが取り組むプロジェクトの社会的意義やビジネスチャンスについて期待を寄せています。フィッシャーマンジャパンも同社の製品の品質に驚き、今後の成長に注目しています。
CEO 加藤広大のビジョン
amuのCEOである加藤広大氏は、今回の出資を通じて多くの仲間が増えたことに喜びを示し、「いらないものはない世界をつくる」というビジョンの実現に近づいていると語っています。さらに、廃漁網にとどまらず、農具資源の再資源化に向かっても歩みを進めていると述べました。彼の豊富な経験と強い意志は、amuをさらなる飛躍へと導くことでしょう。
企業概要
- - 会社名: amu株式会社
- - 所在地: 宮城県気仙沼市南町2丁目2-25
- - 設立: 2023年5月
- - 代表: 加藤広大
- - 事業内容: 廃漁網の回収、プロダクト開発と販売
- - HP: amu株式会社
- - ブランドサイト: amuca
「いらないものはない世界をつくる」というビジョンを持つamu株式会社は、廃漁網の資源化を進めることで持続可能な社会の実現に貢献する企業として、今後も目が離せません。