アンジェスクリニカルリサーチラボラトリーがムコ多糖症のバイオマーカー検査を開始
アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下ACRL)は、2025年9月1日からムコ多糖症に関するバイオマーカー検査の受託を開始することを発表しました。この検査は、ムコ多糖症の二次スクリーニングや経過観察、さらに治療効果のモニタリングを目的としており、医療現場における負担を軽減しつつ、患者の早期発見を目指しています。
ACRLでは、2021年4月1日より新生児に対する「拡大新生児スクリーニング検査」のサービスを提供しており、これは新生児の血液を採取して希少遺伝性疾患の可能性を判断するものです。この検査の結果、「陽性」とされた新生児については、さらに精密検査が求められますが、このプロセスは親にとって精神的なストレスや新生児へ負荷をかける原因になっています。
実際、「拡大新生児スクリーニング検査」でムコ多糖症の陽性者は数千人に1人の割合で発見されますが、精密検査の結果、実際にムコ多糖症と診断されるのは、陽性者数十人に対してわずか1人という厳しい現実があります。このため、精密検査にかかる負担は新生児とその家族双方にとって大きな問題です。
これに対処するため、ACRLは乾燥ろ紙血を用いたグリコサミノグリカン(GAG)定量検査による二次スクリーニング方法を開発しました。この新しいアプローチにより、スクリーニング検査で陽性となったものの、実際にはムコ多糖症ではない偽陽性者の数を10分の1以下に減少させることが可能になるとしています。これにより、精密検査にかかる負担を軽減し、関係者にとって非常に大きなメリットをもたらすでしょう。
さらに、このバイオマーカー検査は、2024年9月3日にお知らせした「日本マススクリーニング学会の学術集会での若手優秀演題賞」において発表されたムコ多糖症の二次スクリーニング方法を実用化した結果です。
ACRLでは、スクリーニング検査、確定検査としての遺伝学的検査、さらに治療効果のモニタリングのためのバイオマーカー検査を一貫して提供できる体制が整いました。これにより、希少遺伝性疾患の診断から治療支援に至るまで、包括的なサービスを提供できるようになり、医療関係者の業務負担を軽減する努力が続けられています。
なお、この新たなバイオマーカー検査の受託開始による企業の連結業績や財政状態には影響がないと述べており、今後の情報開示についても迅速に対応する方針です。ACRLの取り組みは、医療現場における効率性向上や、患者とその家族に対する負担軽減に寄与することでしょう。