一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)が主催するデータマネジメント賞は、2025年度の受賞企業を発表しました。今年で12回目となるこの賞は、データマネジメント分野において卓越した取り組みを行う企業や機関に授与されるもので、業界の模範となるような活動を高く評価することを目的としています。
受賞企業の中でも特に注目すべきは、大賞を受賞した関西電力です。この企業は、AI産業革命を見据えたデータマネジメントの実績により、約300億円の効果を上げることに成功しました。
関西電力は、2030年にはAI産業革命が訪れるという仮定のもと、2023年度に新たなデジタルトランスフォーメーション(DX)ビジョンを策定しました。IT部門の強化とデータマネジメントへの注力が、特に実を結んでいます。2018年にはDX専門企業を設立し、社内にデータスチュワードを配置。データ管理の一元化を図ることで、データの質と一貫性を保ちながら、AIを具体化した案件を478件創出しました。
次に、データ統合賞を受賞したのはアダストリアです。この企業は、複数の事業を統合し、マスターデータ管理システムを導入することで運営コストを年間4,000万円削減。また、情報の一元管理を実現し、業務の効率化にも成功しました。さらに、新たな業態に柔軟に対応した集計・分析の実施が可能になった点も高く評価されました。
アフラック生命保険はデータ活用賞を受賞しました。プロセスマイニングツールを導入し、業務プロセスの可視化を行った結果、業務の効率化と改善が実現しました。特に、IT部門と事務部門が協力して課題を見出すプロセスが評価され、実際に業務委託量が削減されるなどの成果が出ています。
データドリブン経営賞を受賞した株式会社APRグループは、経営データを統合管理し、サービスと社員のモチベーション向上に寄与した点が評価されました。飲食業界においてデータ管理の効率化を図ることで、現場の情報共有が進み、従業員の業務改善に繋がりました。
先端技術活用賞は古野電気株式会社が受賞。若手エンジニアの育成や情報検索を支援するシステムを導入することで、業務の効率性が向上し、現場での知識共有が進みました。
最後に、モデリング賞は星野リゾートに授与されました。IT部門を内製化し、顧客体験を重視したデータモデルの再設計を行うことで、業務改革が進められ、リスク管理も強化されている点が高く評価されています。
今後、この受賞企業がどのようにデータマネジメントを進化させ、さらに多くの業界での成功事例を創出するかが注目されます。2025年3月7日には、東京のホテルで表彰式が行われる予定です。データマネジメントへの取り組みが日本企業全体の競争力向上に寄与することが期待されています。