40代ITエンジニアの早期リタイア希望と60代の働きたい意欲
最近の調査結果から、40代〜60代のITエンジニアの働き方に対する意識が浮き彫りになりました。
セニアエンジニアの働き方意識調査では、なんと40代の3割が早期リタイアを希望している一方で、60代の7割が「定年後も働き続けたい」と答えています。この世代間の意識の違いが、今後の労働市場にどのような影響を与えるかが注目されています。
調査の背景
この調査は、シニアエンジニアに特化したフリーランス求人サイト「レガシーフォース」を運営している株式会社モロが実施したもので、600名のITエンジニアを対象に行われました。調査の結果、60代エンジニアの約7割が「できるだけ長く働きたい」と答える一方、40代では仕事を早期に終えたいと考える人が多く、働く意欲や理由に明確な世代差が見えてきました。
働き続けたい理由
長く働く理由として挙げられたのは、全世代で「経済的に必要」が最多でした。特に50代の方々は、老後資金や生活費の確保への不安も影響しているようです。調査結果では、特に50代で早期退職に対する意識が高まっていることが示されています。この年代は昇給や役職定年など、キャリアの後半特有の状況に直面しているためか、他の年代よりも「働くことが好き」という意識も増えていました。
AIスキルの必要性
調査では、全世代の約8割がAIスキルの必要性を認識していることが示されました。特に40代は、若い世代よりもAI技術を自身のキャリア維持の条件として捉える傾向が強いことが明らかになりました。ただし、実際にAIを使う場面がないという回答もあり、特にバックエンドエンジニアやフロントエンドエンジニアでは4割以上が「使用場面がない」としています。AI導入が進んでいる職場とまだそうでない職場の間に明確なギャップが存在しています。
年齢による認識の変化
加えて、この調査では「AIスキルがないとキャリアが成り立たない」と考える割合が、働き続けたいと答えた年齢層が高いほど上昇する傾向が見られました。具体的に言うと、60代前半まで希望する人々の中でAIスキルの重要性を理解している割合が高く出たのです。「競争力で差がつく」という意識も世代を超えて広がりを見せ、AIスキルはもはや若手に限った話ではないことが浮き彫りとなりました。
今後の展望
株式会社モロの代表取締役である前田洋平氏は、このデータをもとに、年齢にかかわらず戦力として働き続けたい意欲があるシニアエンジニアの資源を無駄にしないための環境作りの重要性を強調しています。AIスキルがキャリアに必要とされる一方で、それに対する学びや実践の流れが整っていない現実もあるため、このギャップを埋める施策が急務です。
実際、調査対象の多くは「使う場面がない」と感じている現状が明らかになっており、シニアエンジニアの経験を適切に活用するためには、企業側でも柔軟な姿勢が求められています。AI技術が今後さらに進化し、成長する業界である中で、モロはシニアエンジニアと企業の架け橋となる役割を果たすことを目指しています。
今回の調査は、日本社会が直面する労働力不足の解決に向けた第一歩とも言え、シニアエンジニアが持つ豊富な経験を社会で活かす環境が必要です。私たちが進むべき方向性は、全ての世代が安心して働ける未来を築くことに他なりません。