オンラインセミナー開催の背景
2025年10月4日、ぜんち共済株式会社によるオンラインセミナーが開催され、『卒業で終わらせない学び~障害のある若者が自分らしく生きる社会へ~』というテーマで語られました。講師は、一般社団法人未来への架け橋の理事長、長谷川正人氏です。
このセミナーの背景には、特別支援学校を2026年に卒業予定の方々が大学や専修学校へ進学する割合が1%に満たないという現状があり、知的障害を持つ方々が希望する学びの場にはアクセスできないという社会的課題が存在しています。長谷川氏は、知的障害者のための教育的環境を整えるために、福祉と教育の融合を促進すべく活動を続けています。
セミナーの詳細
この日に行われたセミナーは、10:00から11:45までの間、780名の参加者を迎えYouTubeライブにて行われました。長谷川氏の個人的な経験から始まった知的障害者を受け入れる高等教育機関の設立についての講演は、多くの参加者に感銘を与えました。
知的障害者の現状と課題
長谷川氏は、知的障害者が高等教育を受けられない背景には、教育機関が求める能力(高いコミュニケーション能力、意欲性、素直さなど)とのギャップがあることを示しました。知的障害者の就職率は34%に過ぎず、入社1年後の離職率は25%という厳しい現実もあります。
この問題は、知的障害者が家庭や社会で受けられた教育や体験についての甘さに起因していることが指摘されます。特別支援学校の3年間で彼らが十分な準備ができずに社会に飛び込むことのリスクは大きいとされています。
海外のスタディ
さらに、長谷川氏は、海外の13カ国を視察した経験を基に、特にアメリカでは約10%の大学が知的障害者を受け入れていることを紹介しました。これに対し、日本では正式に受け入れている大学がないことが、現状を打破するための課題として提起されました。知的障害者のための高等教育を保障することで、就職率の改善や離職率の低減、さらには福祉予算削減にもつながると考えられています。
みらいカレッジの取り組み
長谷川氏が設立に関わった福祉型カレッジ「みらいカレッジ」では、参加者が豊かな人生を歩むための「伝え合う力」「逆境に立ち向かう力」、そして「人生を楽しむ力」を育むプログラムが提供されています。非認知的能力の育成に力を入れ、社会に出た際に通用する力を身につけることを重視しています。
このカレッジでは、個々の背景や学びたい内容に基づいたプログラムを通じて、自立した社会生活が営めるよう支援を行っています。また、一般就労や地域交流、さらには発達支援も行われており、参加者は様々な体験を通じて成長する機会を得ています。
参加者の声
参加者たちは、学びの場が続くことの重要性を強調し、障害のある若者が自分のペースで成長できることが日本社会に不可欠であるとの意見が多く寄せられました。今回のセミナーを通じて、福祉型カレッジの存在意義や復学の可能性に気づいた方も多く、今後の広がりに期待がかかっています。
結論
今後とも、ぜんち共済株式会社は様々な媒体を通じて情報を提供し、障害者が生きやすい社会を築くために尽力していく姿勢を示しています。有意義な学びの場が生まれることで、知的障害を持つ方々が自分らしく生きる未来を切り開けることを願っています。