キャリア自律を支えるための企業の役割
株式会社リクルートが実施した「企業情報の開示と組織の在り方に関する調査2024」では、従業員のキャリア自律を支援するための企業の組織や人材マネジメントの在り方について焦点が当てられました。本調査の結果によって、企業がどのように従業員のキャリア自律意識を高められるのか、その具体的なポイントが浮かび上がりました。
1. 配置・配属理由の丁寧な説明の重要性
調査結果によれば、従業員が配置や配属の理由を丁寧に説明されていると感じるほど、キャリア自律意識が高まることが分かりました。これは「活躍実感」「組織への愛着」などに直接的な影響を及ぼし、結果として従業員の成長を促す要因となります。企業側が従業員に対してどのようにポジションの選定理由を伝えるかが重要であり、キャリアプランやスキル開発の観点からも理解を深めることで、従業員のやる気を引き出すことができると言えます。
2. 仕事の社会的意義の言語化
次に、「仕事の社会的意義や価値を説明できる」個人は、そうでない個人に比べて、なんとおよそ三倍もキャリア自律意識が高いことが明らかになりました。これにより「ジョブクラフティング」、つまり自らの仕事を主体的に再設計するプロセスの中で、上司が果たすべき役割が浮き彫りになりました。日常の対話を通じて、メンバーが自分の仕事の意味を言語化できるようにすることが、上司のスキルとして強調されています。
3. 上司の対話力の影響
最後に、上司が社外の視点からアドバイスをすることが、従業員のキャリア自律意識に高い影響を与えることも調査の結果として示されました。具体的には、業務における新しい経験やスキルの獲得可能性についての説明や、個々のモチベーションの源を探るようなコミュニケーションが、従業員のやる気を引き出す鍵となります。上司は、従業員の特質や意欲を理解し、社外の機会と結びつけることが求められます。
変化に対応する企業文化の必要性
企業寿命と職業寿命が逆転する今日、キャリア自律に対する意識を持つ個人が増える中、企業はそのような希望や課題を抱える従業員にどう向き合うかが問われています。職場での「上司の対話力」やそれを支える「人事のサポート力」が、今後ますます重要になってくるでしょう。企業がこの変化の潮流にいかに対処するのかが、未来のキャリア形成に大きな影響を与えるのです。
調査の詳細資料は
こちらからご覧いただけます。
リクルートは今後も、キャリア自律を高める施策や支援について継続的に調査・分析を行っていく予定です。