間宮改衣の新作『弔いのひ』が第39回三島由紀夫賞候補に
作家の間宮改衣が、その新作『弔いのひ』を通じて新たな一歩を踏み出しました。この作品は、彼女がかつての苦しい家庭環境や、父親との関係に真摯に向き合った結果生まれたものであり、彼女にとっての「私小説」として位置付けられています。この度、第39回三島由紀夫賞の候補作に選ばれ、その注目度はますます高まっています。
作品の背景
間宮改衣は、2024年にデビュー作『ここはすべての夜明け前』で鮮烈な印象を残し、直後に三島由紀夫賞の候補にもノミネートされました。しかし、その華々しいスタートを切った後、彼女は深刻な鬱状態に陥ってしまいます。デビュー作から中編を書く機会を得たものの、筆が進まず、行き詰まった状態が続きました。そんな中で浮かんだのが、彼女の父親の死を題材にしたいという衝動でした。
この思いは、単なる父の思い出や家族への感情を超え、彼女自身の人生に対する向き合いとも言えるものでした。父との心の距離、そして母との複雑な関係を振り返ることで、彼女は過去と向き合う決意を固めます。
作品のテーマ
『弔いのひ』は、間宮改衣の心の内面を赤裸々に描いています。作品の中で、娘が亡くなった父に向けて語りかける姿が印象的です。「お父さんは明日、死ぬかもしれんのや」と告げる言葉には、彼女の複雑な感情と、過去に踏み込もうとする強い意志が込められています。家族との繋がりを「お金に換える」という選択には、作家としての彼女の葛藤が表れています。
作家の成長と覚悟
間宮改衣は、自身の人生の中で抱え続けてきた悩みや葛藤を素直に表現することで、新たな境地に達しました。これまで目を背けてきた自分自身の物語を描くことは、彼女にとって新たな苦しい道の始まりであったのかもしれません。だが、そこには作家としての強い覚悟も感じられます。
彼女は、自らが書くことで少しでも過去と向き合い、整理しようとする姿勢を見せています。『弔いのひ』は、彼女にとって「再誕生」のための作品であり、多くの読者に感動を与えることでしょう。
著者について
間宮改衣(まみや・かい)は、1992年に大分県に生まれました。2023年にはデビュー作『ここはすべての夜明け前』でハヤカワSFコンテスト特別賞を受賞。翌年には同作が単行本化され、三島由紀夫賞にノミネートされるなど、その才能は広く認められています。今回の『弔いのひ』は、彼女の成長を象徴する作品といえるでしょう。
書籍データ
- - 【タイトル】弔いのひ
- - 【著者名】間宮改衣
- - 【発売日】2025年12月17日
- - 【造本】四六判ハードカバー
- - 【ページ数】160ページ
- - 【定価】1,870円(税込み)
- - 【ISBN】978-4-10-356611-3
- - 【URL】新潮社
今後の三島由紀夫賞選考会は2025年5月14日に行われる予定で、彼女の受賞に期待が寄せられます。間宮改衣の新たな力作、『弔いのひ』は、きっと多くの人々に感動をもたらすことでしょう。