がん治療の新たな可能性を拓く
イミュニティリサーチ株式会社が、ドイツの製薬企業ベーリンガーインゲルハイム(BI)との共同開発およびライセンス契約を締結した。これは、がん免疫療法における治療効果の予測に関する新しいバイオマーカー技術の商業化を目指すものだ。この契約は、2017年に埼玉医科大学との間で結ばれた独占的通常実施契約に基づいて進められた。
背景:がん免疫療法の重要性
免疫チェックポイント阻害剤は、がん治療において高い効果を示すことから、広く注目されているが、患者によってその効果には差があることが課題とされている。そのため、投与前に個々の患者の治療効果を予測できる技術が求められていた。埼玉医科大学の各務博教授が開発した血液中のリンパ球を使ったバイオマーカーの技術は、この課題を克服するための鍵となる。
新技術の可能性
本研究成果は、2017年6月にアメリカで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)でも高く評価されており、患者に対してより効果的な治療を提供するための新たな基盤を築くことが期待されている。この技術を駆使することで、免疫チェックポイント阻害剤の効果を高い特異性と感度で予測できるようにし、医療現場における治療の効率化に寄与する。
提携の意義
イミュニティリサーチは、BIとともにこの新たな免疫療法に関する技術を用いて、がん治療の新しい手法を開発することを目指している。これにより、がん患者が適切な治療を受け、より高い治療効果を得られる可能性が大いに広がる。双方の企業は、患者にとって最適な治療法を提供できるよう、研究開発に力を入れるという。
企業情報
イミュニティリサーチ株式会社
- - 設立日:2017年5月15日
- - 所在地:東京都千代田区有楽町2-10-1東京交通会館6階 goodoffice有楽町
- - 代表者:代表取締役 安河内正文
- - 事業内容:免疫チェック阻害剤関連の臨床効果予測に関する研究及びキット等の開発、免疫療法に関わる遺伝子解析、新規免疫療法に関わる研究、医学研究受託・データベース事業、治療薬開発など。
今後の展望
この提携がもたらす成果は、がん治療の未来に大きな影響を及ぼすだろう。がん免疫療法の進歩が、患者のQOL(生活の質)を向上させることを期待し、両社は引き続き研究開発を加速していく方針だ。その成果が早く患者に届くことを願うばかりである。