カスタマーハラスメントの現状と対策
賃貸住宅管理業界において、カスタマーハラスメント(以下カスハラ)は深刻な問題となっています。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(以下日管協)が実施した調査によると、参加した企業の約60%がカスハラの経験があると回答しています。特に驚くべきなのは、約40%の人が対策が不十分だと感じており、この問題を放置すると、やがて従業員の疲弊や退職の原因となる恐れがある点です。顧客とのトラブルが広がることで、業界外への人材流出も懸念されています。
日管協の支援策
これらの問題に対処するため、日管協は国土交通省と連携して、さまざまな支援策を講じています。以下にその主な取り組みを紹介します。
カスタマーハラスメントに対する基本指針のひな形
カスハラに対する企業の姿勢を示すためのフォーマットを作成し、会員企業が自社のホームページなどに掲載できるようにしています。これにより、透明性を高め、顧客との良好な関係構築を目指します。
各種契約書の条文作成
カスハラが発生した場合の契約解除に関する条文を新たに設け、賃貸借契約書などに追加することで未然にトラブルを防ぐ取り組みを進めています。こうした具体的な対策が、業界全体の信頼性向上につながります。
啓発ポスターの作成
日管協と国土交通省が共同で作成した啓発ポスターを店舗等に掲示し、カスハラの発生を抑止効果を狙う戦略も採用しています。視覚的にカスハラの問題を周知することで、顧客にもその重要性を認識してもらう狙いがあります。
カスハラ対応ブックの発行
「賢く解決!カスハラSMART対応ブック」は、カスハラの判断基準や対策フロー、実際の事例などを網羅した一冊となっており、業界の実務者にとって貴重な情報源となっています。この本により、現場での対応力が向上することが期待されています。
カスタマーハラスメント対策の重要性
カスタマーハラスメント対策は、企業にとって難しい領域ではあります。顧客に対して誤解を生むような表現が求められるため、なかなか手を出しにくいのが実情です。しかし、業界団体である日管協が第三者的な立場から情報を発信することで、顧客にも受け入れられやすくなり、会員企業への支援にもつながります。
賃貸住宅は全国に約1,900万戸存在し、私たちの生活基盤を支える社会インフラでもあります。快適な生活環境を整えるためには、従業員の安全と安心を確保することが不可欠です。日管協は、これからも賃貸住宅業界に従事する人々の就業環境を守り、より良い暮らしの実現に向けて努力を続けていきます。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会について
日本賃貸住宅管理協会は、賃貸住宅の専門的な運営と管理を促進するために設立されました。令和6年4月時点で、会員企業は2,501社に達し、賃貸市場の健全な発展に寄与しています。
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