エコモットによるヒグマ対策の新たなアプローチ
北海道及び東北地方において、ヒグマやツキノワグマの生息域が拡大する中、直面する「アーバンベア問題」の深刻化が懸念されています。エコモット株式会社(本社:北海道札幌市)は、この課題に対し、フィジカルAIと最新のロボット技術を用いたヒグマ対策システムの研究開発を行うことを発表しました。これは経済産業省の令和8年度「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」に採択されたものです。
研究開発の背景
近年、ヒグマの出没が増加し、農業被害や人身事故が発生するリスクが高まっています。特に、札幌市などでは人間とヒグマの共存を図る「ゾーニング管理」を推進。これにより、ヒグマの生息地をコア地域、農業を守る防除地域、侵入を防ぐ排除地域、などに分け、それぞれに応じた対策を講じています。しかし、防除地域は非常に広範囲であるため、有人巡回や固定カメラによる監視が中心となりつつあり、人手不足と高齢化が進む昨今、持続的な対応が困難になっていました。
新たなロボットシステムの提案
エコモットは、IoTセンシング技術、クラウドプラットフォーム技術、エッジAI技術に加え、新たにフィジカルAI技術を取り入れた自律巡回ロボットシステムの開発を進めています。このシステムでは、複数の四足歩行ロボットが緩衝地帯や防除地域を自動巡回し、ヒグマやその痕跡を迅速に発見します。また、電気柵の状態監視や情報の迅速な共有が可能となり、人的なリスクの低減と業務の省人化を実現します。
具体的には、ロボットが取得した映像や位置情報をクラウド上で統合し、ヒグマの行動傾向を分析することで関係機関が共通の情報基盤を基に迅速な意思決定を行える環境を整えます。この結果、従来の「点による監視」から、より高度な「面によるゾーニング管理」へのシフトが期待されます。
研究開発の3つのコア領域
本プロジェクトでは、以下の3つの重要領域が設定されています。
1.
物理データ基盤の構築と自律歩行技術の確立
北海道および東北地域の環境を3Dデータ化し、強化学習を行います。これにより、現実とデジタルを融合させたデジタルツイン環境を構築し、四足歩行ロボットの自律移動技術を開発します。
2.
複数台ロボットの協調制御技術の確立
単体ロボットの性能向上にとどまらず、情報をリアルタイムで共有し、役割や巡回ルートを最適化するシステムを構築します。これにより、常に安定した監視体制が確保されます。
3.
エッジAIによるリアルタイム検知とWeb管理システム
センサーとエッジAIを組み合わせてヒグマの検知を行い、リアルタイムで管理者へ通知します。リスク状況の可視化を通じて、データに基づく管理の実現を目指します。
将来の展望
このプロジェクトから得られる成果を基に、自治体や農業生産者向けの自律巡回ロボットサービスの提供を目指します。さらには、開発した協調制御技術やフィジカルAIプラットフォームを活用し、スマート農業や社会インフラの監視と点検など、他領域への展開も視野に入れています。
エコモット株式会社について
エコモットは2007年に設立以来、IoT専業のソリューションベンダーとして、様々なセンサーや通信デバイスを提供しています。2017年からは札幌証券取引所に上場し、その後2018年には東京証券取引所にも上場。今後も、持続可能な地域社会の実現に貢献するため、革新的なソリューションの提供を進めていく方針です。