沖縄美ら海水族館、新たな寄生虫駆除法の開発
沖縄美ら海水族館が最新の研究成果として、魚類の寄生虫感染症に対する新しい治療法を発表しました。この技術は、2017年から進められてきた「サメの人工子宮」の研究を基にしています。この新しいアプローチにより、従来の淡水浴では治療が難しかった魚種にも適用できると期待されています。
研究の背景
単生類という微小な寄生虫は、魚の皮膚や鰓部分に寄生し、大量に存在すると宿主の健康に重大な影響を及ぼします。水族館では、一般的に淡水浴法がこの寄生虫に対する駆除手段として広く用いられていますが、淡水に弱い魚種にはこの方法が適用できません。特に、無顎類や板鰓類といった魚種がその対象です。
水族館は多様な魚類を飼育しているため、淡水浴以外の新しい治療法の開発が喫緊の課題でした。そのような背景の中で、新たな治療法の必要性が高まっていました。
開発経緯
美ら海水族館では、2021年にサメの胎仔を母体外で育てるために人工羊水と呼ばれる溶液を開発しました。この溶液は、淡水、海水、尿素を特定の割合で混ぜたもので、サメの血漿に似た特性を持っています。その後の研究により、この溶液の組成が寄生性単生類の駆除にも有効であることが示唆されました。
比較研究の結果、無顎類や板鰓類に安全で、かつ効果的に寄生虫を駆除できる「尿素水」が完成しました。
寄生虫駆除法の詳細
この新たな寄生虫駆除法では、開発した尿素水に寄生虫に感染した魚を短時間浸すだけで、体表に寄生している単生類を効率的に駆除できるというものです。具体的には、約5分の浸漬で効果が見込まれています。
この技術は、特に無顎類や板鰓類に対しても安全性が確認されており、特許を取得しました。特許の名称は「表皮寄生性単生類の駆除方法」で、2026年5月20日に登録されています。特許番号は7866821号です。
既にこの技術を用いて、ムラサキヌタウナギの治療が実施されており、飼育生物の健康維持に一役買っています。水族館は今後も、新たな技術開発に挑み、より良い生物の福祉を目指していく方針です。
沖縄美ら海水族館の役割
沖縄美ら海水族館はその名の通り、「ちゅら(美しい)」という沖縄の言葉に由来する、海の美しさを再現した展示を行っています。様々な水圏の生きものと出会う場を提供するだけでなく、希少生物の保全や繁殖研究にも積極的に取り組んでいます。さらに、質の高い教育機会の提供に努め、持続可能な観光推進にも寄与しています。
美ら海水族館は、一般財団法人沖縄美ら島財団が運営し、全国の博物館の中でも法的な位置づけがある登録博物館に認定されています。今後も水族館の研究成果が広がり、魚類の健康管理に画期的な影響をもたらすことが期待されます。
この研究成果についての詳細は、論文「Urea water bath: A novel treatment for monogenean parasite infections in hagfish」に記載されており、自由にアクセス可能です(
論文URL)。