はじめに
近年、障害の有無にかかわらず、すべての人々が安心して暮らせる社会を目指す流れが強まっています。そしてその実現には、バリアの解消が必要不可欠です。2024年4月から施行される改正障害者差別解消法は、民間事業者における合理的配慮の提供を義務化するなど、ユニバーサルデザインの重要性が高まっています。
開発の背景
自動ドアは技術進歩により安全性が向上してきましたが、一律の動作に依存しているため、障害のある方々には多くの不便を強いてきました。2023年11月に実施された「ミライロ・リサーチ」では、車いす使用者がタッチスイッチに手が届かないことや、視覚障害者がドアの状態を確認できないことなどの声が寄せられました。
このような状況を受けて、フルテック、ハウディ、そしてミライロの三社が協力し、新しい自動ドア「ミライロドア」を開発しました。
「ミライロドア」の特徴
「ミライロドア」は、専用のドアコントローラと自動ドアが組み合わさることで、ユーザーの属性に応じたフレキシブルな開閉制御が可能となります。具体的には、次のような機能を搭載しています。
- - スマートフォンとの連携: 通行者の情報に合わせてドアの開閉速度を調整
- - 音声案内: 視覚障害者のためにスピーカーから誘導アナウンスを再生
- - 自動開閉: 車いす使用者が接近した際に自動でドアが開く
これらの機能は、自動ドアを通る際の安全性や便利さを大いに高めると同時に、施設全体のユーザビリティ向上にも寄与します。
開発への取り組み
開発には、ミライロのユニバーサルデザインに関する専門知識が活かされました。彼らは障害者の視点を重視し、自動ドアの運転方法や音声案内に関する監修を行っています。また、利用に必要なスマートフォンアプリは、株式会社ミライロが提供している「ミライロID」を通じて簡単にインストール可能です。
さまざまな施設への導入
この新しい自動ドアは、公共の建物だけでなく、商業施設や医療機関、マンションなど、幅広い施設での導入が見込まれています。フルテックとハウディの共同開発による専用コントローラは、既存の自動ドアにも簡単に取り付けることができ、コスト面でも優れたメリットがあります。
体験イベントの開催
「ミライロドア」のデモンストレーションと体験会が2024年3月14日に東京都港区の日比谷オフィスで行われる予定です。参加者は自動ドアの操作を実際に体験することができ、これによりその利用のしやすさを実感できます。
企業の代表からのコメント
「ミライロドア」の開発について、株式会社ミライロの社長垣内氏は、障害者の意見を反映し、誰一人取り残さない社会を目指していると語りました。また、フルテック社の副社長古野氏は、社会がこうした障害に配慮した設備を持つことが求められていると強調。ハウディの浅田社長は、IoT技術によって自動ドアが進化し、すべての人に優しい設計が実現されたことに喜びを表しました。
まとめ
「ミライロドア」は、障害者を含む全ての人々の利便性を高めるために開発された新世代の自動ドアです。ユニバーサルデザインの理念に基づき、すべての人々が安心して入ることのできる社会を実現するための第一歩と言えるでしょう。今後の導入先も楽しみです。期待が膨らむこの取り組みが、真の共生社会の実現に向けて貢献していくことを願っています。