海水アクアポニックスの商業化プロジェクト
株式会社アクポニが、日本エア・リキードと共に海水アクアポニックスに関する商業化研究をスタートした。これは、環境に配慮しつつも効率的な食料生産を目指す革新的な取り組みである。
1. 共同研究の背景と目的
アクポニは、「アクアポニックスで人と地球をHAPPYに」というビジョンを掲げている。このプロジェクトでは、神奈川県藤沢市にある「ふじさわアクポニビレッジ」にて新たに設立された「海水アクアポニックス未来ラボ」が拠点となる。研究の目的は、海水を利用したアクアポニックス技術の確立と、養殖と栽培可能な品種の拡大である。
2. アクアポニックスとは?
アクアポニックスは、養殖と水耕栽培を組み合わせた持続可能な食料生産システムである。魚の排泄物を微生物が分解し、植物に必要な栄養素を提供する。この循環により、効率的に水資源を使うことができ、環境への負荷も減少させる。
3. 取り組む培養品種
本研究では、バナメイエビ、シーアスパラガス、海ブドウが栽培の中心となる。これらの品種は高い需要があり、特にシーアスパラガスは最近注目されている作物である。アクポニはこれらの栽培を通じて、商業的な収益向上を図る。
4. 環境問題への取り組み
日本では水産物の輸入が増加しており、国内水産業の自給率が低下している。その中で、海水アクアポニックスという新しい技術が求められている。この技術により、輸入コストの削減や環境負荷の軽減を実現できる可能性がある。
5. 先進的な技術の導入
エア・リキードが持つ酸素と二酸化炭素の溶解技術がプロジェクトに活用される。これにより、水中の酸素濃度が最適化され、成長速度が向上することが期待されている。生産性を高めるための新たな方法論が開発されつつある。
6. 共同研究の展望
この共同研究は2025年4月から始まり、商業化モデルとして具体化していく。世界でも珍しい海水アクアポニックスの実証が行なわれ、農業の新たな可能性が開かれるかもしれない。特に、冷・温排熱のエネルギーの有効活用によって、環境へのインパクトをさらに軽減することも目指されている。
7. 各社のコメント
アクポニの代表、濱田健吾は「持続可能な生産システムを確立し、アクアポニックスの魅力を多くの方々に知ってもらいたい」と語っている。また、日本エア・リキードの社長、牧原康二は「このプロジェクトが持続可能な食料システムの構築に寄与することを期待しています」とコメントしている。
8. 結論
海水アクアポニックスの商業化に向けた共同研究は、環境に優しいだけでなく、経済的にも意味のあるプロジェクトとなる。産業の発展とともに、持続可能性を考えた未来の食料生産を実現することができるのだろうか。観察と期待が募るプロジェクトだ。