終末期ケア専門士認定資格の誕生
一般社団法人日本終末期ケア協会が新たに「終末期ケア専門士」認定資格を設立しました。この資格は、急速に進行する多死社会において特に重要な役割を担う医療や介護の専門職を対象としています。受験申し込みは2020年4月3日から9月30日まで受け付けられています。
終末期ケア専門士試験の概要
この資格は、終末期ケアについて基礎を学ぶことができる内容で構成されており、「エビデンスに基づいた臨床ケアの担い手」を育成することを目的としています。医師や看護師だけでなく、介護士、介護福祉士、理学療法士、栄養士といった多様な専門職が受験できます。また、この試験は全国で行われる数少ないCBT(コンピュータベースのテスト)を採用しており、全国270か所の会場で、1週間の試験期間内に自分の都合に合った日を選んで受験することが可能です。
試験の特徴
受験者は、試験日時や会場を3日前まで変更できるため、急な予定変更にも柔軟に対応できます。また、災害などで受験できなかった際には、振替受験を利用することができます。公式テキストに沿った出題が行われ、内容も含めて学びやすいのが特徴です。
専門士資格取得のメリット
「終末期ケア専門士」の資格を持つことで、以下のようなメリットがあります:
- - 資格の更新に必要な単位をオンラインで取得可能。
- - 履歴書や名刺に名を記載することで、転職時に有利に働く。
- - 他の専門士とのSNSでの繋がりを通じて、情報交換や新しい学びの場を提供。
- - ステップアップ制度により、アドバンスインストラクターになれば協会からの案件を受けたり、講師や執筆の機会を得られる。
このように、知識や技術だけでなく、様々な価値観や経験を重視した学びの場を提供しています。心理学、経営学、倫理学、行動経済学、歴史学など、さまざまな分野に触れながら、終末期ケアの幅広い理解を深めることが可能です。
専門士対象のカリキュラム
受験者は、以下のカリキュラムに基づいて学びます:
- - 生と死、終末期の定義や概念。
- - チームによるケアの重要性。
- - 日常生活を支えるためのさまざまなケア技術。
- - 身体症状に対するケア、意思決定支援や家族へのケア。
- - スピリチュアルケア、グリーフケア、看取り期の実務など。
代表理事からのメッセージ
「豊かなケアを提供するためには、専門的な知識と共に、『正解を求めること』が必ずしも最適なアプローチではないことを知ることが重要です。」と語るのは、日本終末期ケア協会の代表理事、岩谷真意氏です。今後、多数の人々が死と向き合う中、終末期ケア専門士が地域や職種を超えたつながりを構築し、一人ひとりのニーズに応じた個別のケアを提供できる環境を整えることが急務となっています。
この資格は、単なる資格取得に留まらず、受験者同士が情報を共有し、相互に助け合うネットワークを築くことにも寄与しています。専門の知識を活用し、より豊かなケアを目指す環境は、今後の医療・介護業界において非常に重要な役割を果たすことでしょう。
ノート
詳細な受験申込は、
日本終末期ケア協会公式ホームページをご覧ください。また、公式テキストはこのホームページやアマゾン、楽天などで購入可能です。
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