物流DXを牽引するシマントが語る"物流業界の今と未来"
物流の専門家インタビュー企画「今、変革する物流業界」が株式会社シマントの主導によりスタートしました。この企画では、物流の現状や未来へのビジョン、課題について掘り下げていきます。シマントはトラック輸送の配車管理システム「ロジGo」を通じて、物流DXの先駆者としてその舵を取っています。インタビューでは、同社のCEO和田怜氏が直面する現況や解決策について語りました。
物流業界の現状と2024年問題
現在、日本の物流市場は約24兆円と言われ、トラック輸送がその70%を占める重要なセクターとなっています。しかしこの市場は、今まさに過渡期に直面しています。「物流2024年問題」の影響が徐々に現れ始め、荷主のニーズに対する供給が不安定化。和田社長によれば、以前は簡単に受け入れられていた配送依頼が、現在では従来の価格設定で断られることも増えてきています。これにより、物流業界は持続可能な体制の構築が必要とされています。
和田氏は、「単価を上げざるを得ない状況が続いており、物流の滞りが懸念されています。特に繁忙期の物流コストの上昇が見込まれています」と説明しました。トラックドライバーの時間外労働上限規制が影響する中、長距離輸送が難解になり、特に大都市から地方へのコストがかさむといいます。
地方への影響と未来の物流
このままでは、東京と地方の物流に著しい格差が生じ、生活者への影響が懸念されます。「例えば、青森のりんごが東京に運べないため、地元で廃棄される事例も出ています」と和田社長は指摘し、今後の地域物流の見直しが急務となっていることを強調しました。
また、ドローンや新幹線を利用した運搬など新たな物流手段も模索されていますが、スーパーマーケットに並べるための量を確保することが難しい現状があります。これに対抗策として、地域内での地産地消の促進や、配達時間の見直しが求められています。
巨大倉庫の可能性
シマントが目指すのは、都市近郊に巨大倉庫を配置し、効率的な物流網を構築することです。和田氏は、「高速道路の近くに超巨大ターミナルを設け、都市部との積み替えを行うことで物流の効率を向上させることができる」と未来の展望を語りました。しかし、これを実現するためには人手不足の解消が急務とされています。
労働環境と賃金改革
現在の多くのトラックドライバーは、平均年収が依然として490万円に対し、ドライバーは419万円と大きく水をあけられています。和田社長は「給与と労働環境の改善が必要です」とし、ドライバー不足の解消には賃金の引き上げが不可欠であると語ります。この中で、新たな物流改革が必要とされているのです。
共同物流とデジタルシフト
共同物流というコンセプトも、今後の重要な要素になるでしょう。地域や企業での物流情報を共有し、効率的に運ぶ取り組みが期待されています。しかし、情報の分断が今までこのプロセスを阻んできました。
シマントは、これらの課題をテクノロジーによって解決しようとしています。情報の集約化により、トラックの稼働状況を可視化し、物流の効率化に寄与するプラットフォームの開発を進めています。「情報の規格化が実現されない限り、物流業界のクライシスは解消されません。今がその大切な時期なのです」と和田社長は強調します。
物流は私たちの日常に欠かせないものであり、その革新が進むことで、未来のサプライチェーンも大きく変わることでしょう。シマントの挑戦は、こうした新しい物流の形を示唆してくれる重要なポイントになるのです。