JAXAとPower Diamond Systemsが共同研究を開始 - ダイヤモンド半導体の宇宙利用の未来

JAXAとPower Diamond Systemsが協力した新たな研究

株式会社Power Diamond Systems（PDS）は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構（JAXA）との共同研究を開始しました。この取り組みは、宇宙及び航空分野における次世代半導体デバイス、特にダイヤモンド半導体デバイスの実用性を検証することを目的としています。本研究では、ダイヤモンド半導体の中でもパワーMOSFETに焦点を当て、宇宙環境での性能を科学的に評価する予定です。

研究の背景と重要性

宇宙探査や衛星通信、地球観測といった分野において、宇宙機の電子機器には高性能かつ高信頼性の電力変換技術が求められています。これまで利用されてきたシリコン（Si）やシリコンカーバイド（SiC）、窒化ガリウム（GaN）に続き、ダイヤモンド半導体は、その高耐圧・高温動作・高放射線耐性といった特性から、次世代のパワー半導体材料として注目されています。

PDSは、これまでの産業アプリケーションや電力インフラ向けなどで培ったダイヤモンド半導体技術を活用し、JAXAの宇宙環境評価技術を融合させることで、宇宙での利用に向けた実装シナリオを検討します。

代表取締役藤嶌辰也のビジョン

PDSの代表取締役である藤嶌辰也氏は、2022年の創業以来、ダイヤモンド半導体デバイスの研究開発に取り組んできました。彼は、宇宙・航空分野が有望な応用先であると位置付けており、JAXAとの連携の中で、多くの技術的な検証や議論を重ねていると語っています。今後は、ダイヤモンドパワーMOSFETの宇宙機への実装を目指し、JAXAと共同で、宇宙環境に対応できるデバイスの開発に努める考えです。

共同研究の活動内容

共同研究の活動では、まずダイヤモンド半導体デバイスの様々な特性を評価し、その性能や耐久性を確認します。具体的には、厳しい宇宙環境下でどのように機能するのかを実証し、必要な基礎データを取得します。

これにより、将来的には宇宙におけるダイヤモンド半導体の利用が現実のものとなるよう、両者が協力して成果を高めていくことが期待されています。宇宙機用デバイスとしてのダイヤモンド半導体の導入は、エネルギー効率を大幅に向上させ、宇宙科学の進展に寄与することでしょう。

Power Diamond Systemsの事業概要

Power Diamond Systemsは、東京都新宿区に本社を置くスタートアップ企業です。彼らは、ダイヤモンド半導体デバイスの研究開発を行っており、特に再生可能エネルギーやモビリティ領域において、その技術が強く期待されています。今後は、超小型かつ高効率なインバータモジュールの実現を目指し、エネルギー社会の更なる省エネ化に寄与していく方針です。