新たなミステリーの展開
青本雪平の新作小説『この配信は終了しました』が、2025年5月21日に発売される。彼は『ぼくのすきなせんせい』で第3回大藪春彦新人賞を受賞し、映像化されることが決定した『人鳥クインテット』で初の長編小説デビューを果たした気鋭の作家だ。2作目の『バールの正しい使い方』も第26回大藪春彦賞候補に挙がるなど、今後が期待される存在である。
本作『この配信は終了しました』は、ネット配信者たちを中心にした連作ミステリー。様々なジャンルの配信者が登場し、正義系や暴露系、心霊系といった多彩なスタイルで物語を展開していく。配信が終了した後、彼らの裏側に隠された真実が明らかになるという構成だ。特に心霊スポットを舞台にした恐怖体験や、配信者たちが抱える秘密といった要素が、読者の興味を引くだろう。
本文無料公開の開始
発売に先駆けて、2025年4月25日17:00から双葉社の文芸総合サイトCOLORFULにて、作品の一部が無料公開された。この機会には、曰く付きの洋館での心霊系配信者たちのストーリーに触れることができ、背筋が凍るような体験を楽しむことができる。特に、心霊現象を扱った話は読者を惹きつける要素が満載だ。実際に起った悲劇や出来事が、どのように描かれているのか、ぜひ確かめてみてほしい。
各ストーリーのあらすじ
本作は連作形式であり、各話が異なる配信者を主軸にしている。以下はそれぞれのあらすじだ。
- - 暴露系では、千里という兄弟が運営する暴露系動画チャンネルが、ライバルに関するスキャンダルに直面する。週刊誌の記者と共に調査を開始した彼らは、思いもよらぬ罠に巻き込まれる。
- - 心霊系の話では、冴えない先輩後輩コンビが始めた配信が、霊が出たということで話題を呼ぶが、初めて訪れた廃墟で未曾有の悲劇が起こる。
- - 考察系の配信者が生配信中に姿を消し、その後に遺体となって発見される。自殺か既に何らかの事件に巻き込まれたのか、周囲は衝撃の真実に直面する。
- - 救済系の話では、樹海で発見された男性がその遺体と共に抱えていたリュックサックが、家出少女たちを救済する配信者と結びついてくる。彼の正体とは何か?
- - 正義系の配信者が現行犯逮捕を行った後に自ら命を断つ。その理由を追求する中で、彼の抱える過去が少しずつ明らかになる。
この様に、本書は多面的に描かれる配信者たちの物語を通じて、現代社会やインターネットの裏側に潜む恐怖や真実、そして人間のダークサイドを浮き彫りにしていく。
作品情報
- - タイトル:『この配信は終了しました』
- - 著者: 青本雪平
- - 価格: 1,870円(税込)
- - ISBN: 978-4-575-24819-7
青本の筆致が生む緊張感ある描写とストーリー展開は、ミステリーファンはもちろん、ネット文化に関心のある読者にも強く訴えるだろう。ぜひ手に取って、この新たなミステリーの世界を体験してみてほしい。