家族間の介護についての意識調査、話し合いが進まない現実

家族間の介護に関する意識調査

介護は多くの人にとって避けては通れないテーマですが、その実態に関する調査が行われました。2025年10月に実施されたこの調査は、498名の終活ガイド資格検定受講者から得られたものです。

介護の認知度

「介護」という言葉を知っているかという問いに対し、「よく知っている」と「ある程度知っているを合わせると、82.3%に達しました。これに対し、具体的な内容に関する理解は不足している層もいることがわかります。言葉の認知度は高いものの、実際に介護についての具体的な対策を考えている人は少数派のようです。

介護経験と将来の意識

調査参加者の39.0%は、「現在または過去に家族の介護を経験した」との回答をしており、約4人に1人が実際に介護に関わっています。一方で、54.0%は介護経験がないことも明らかになりました。しかし、将来的に自分が介護する可能性があると思う人は71.3%に達し、多くの人が他人事ではなく自分の問題として捉えていることが示されています。

介護方針の話し合い

家族間での介護方針について話し合ったことがあると答えたのは29.9%にとどまり、最も多い回答は「話したいが話し合えていない」の35.5%でした。このことからも、会話としては望まれているが、実際には行動に移せていない家庭が多いことがうかがえます。

介護費用への認識

介護にかかる費用については、56.3%の人が「ほとんど知らない」または「全く知らない」と回答しており、経済的な準備ができていない状況が浮かび上がります。費用について具体的に知識を持つことが、今後の介護生活にどれほど重要なのかを認識している人は少ないという調査結果です。

介護サービスの利用経験

公的な介護保険サービスを知っているが利用していない人が49.4%と半数近くを占めており、制度の認知度は高いものの実際に利用している人は少数です。このように、介護制度に関する情報が不十分であることが影響しているのかもしれません。

介護に対する備え

介護についての備えとして、57.3%の人が「ほとんどしていない」または「していない」と回答しました。情報収集を積極的に行っている人はごく少数で、多くの人が準備を怠っている現実を反映しています。

家族の介護に対する不安

家族の介護についての不安として最も多かったのは「経済的なこと」で51.6%、次いで「心身への負担」が29.3%となっています。このことからも、介護に対する心理的・経済的な不安が深刻であることが分かります。

早期準備の重要性

介護について早めに準備しておいてよかったこととして最も多かったのは「家族との話し合い」で38.6%でした。介護にあたってのコミュニケーション不足がこの問題を複雑にしている可能性が考えられます。今後、家族での話し合いをいかに進めるかが重要な課題であると言えそうです。

この調査結果をもとに、介護についての意識を高め、より良いサポート体制を築くためには、家族間でのコミュニケーションの重要性が改めて提唱されるべきでしょう。介護は誰にとっても身近な問題であり、適切な情報や制度を理解することが必要不可欠です。