新技術で糖監視
2025-07-07 14:04:01

植物内部の糖輸送をリアルタイムで監視する新技術の開発

植物内部の糖輸送をリアルタイムで監視する新技術の開発



最近、早稲田大学などの研究グループが、植物内部の糖(スクロースやグルコース)の動きをリアルタイムに監視できる「植物刺入型多酵素センサ」を開発しました。このセンサは、植物の茎や果実に直接刺入して使用され、糖の動態を24時間にわたって測定することが可能です。

開発の背景


植物は私たちの生活に不可欠であり、その健康状態は持続可能な農業の実現や気候変動対策において重要な要素となっています。植物が光合成を通じて生み出すショ糖は、エネルギー運搬の主要な糖であり、植物の生理的状態を知るための重要な指標です。しかし、従来は植物内部でリアルタイムに糖を検出する技術が十分に発展していなかったため、農業や生理学的な研究の現場では課題が残っていました。

新技術の特徴


研究チームは、植物に挿入できる針型の多酵素バイオセンサを開発しました。このセンサは、カーボンファイバーを基材とし、複数の酵素を多層的に配置することで構築されています。これにより、糖の検出に必要な反応が連続的に引き起こされ、従来の方法に比べて感度と応答速度が向上しました。特に、センサは安定した動作が可能で、さまざまな温度条件下でも高いパフォーマンスを発揮します。

センサは、ストロベリーグアバの果実や茎に挿入され、ショ糖濃度をリアルタイムで測定することに成功しました。また、このセンサには小さな開口部が設けられており、植物内部の液体と効率良く接触できる設計になっています。

研究の成果


実験では、センサを使用して24時間にわたるショ糖の動態を測定したところ、日中にショ糖濃度が低下し、夜間に増加することが確認され、植物の成長に必要なエネルギー供給のリズムが反映されていることがわかりました。また、スギの葉からショ糖が吸収される様子もリアルタイムで観測することに成功しました。これは、光合成の過程でどのようにショ糖が生成され、植物内で移動するのかを示す重要な結果です。

今後の展望


本技術は、農業における栄養管理や植物のストレス診断、収量予測など、多くの応用が期待されています。さらに、センサを小型化・柔軟化することで、多様な植物種や器官への対応が可能となります。今後の研究開発が大いに期待されます。

まとめ


新たに開発された植物刺入型バイオセンサは、植物の生理や環境応答を理解するための貴重なツールとなるでしょう。特に、持続可能な農業に貢献する上で重要な技術革新として、今後の発展に注目が集まります。


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