画期的な粉体分散剤予測法『効果球』の登場
株式会社コーセーが新たに開発した粉体製剤における分散剤の選定手法『効果球』が注目されています。この技術は、日本化粧品技術者会の学術大会で最優秀口頭発表賞に輝き、その革新性が評価されました。粉体入りリキッド製剤、特にファンデーションや日焼け止めの開発が進む中で、適切な分散剤を選択することは非常に重要な要素となります。
これまでの課題
粉体製剤の開発においては、粉体・溶媒・分散剤の配合がバランス良く行われる必要がありますが、これに関しては従来、個々の開発者の経験に基づくアプローチが主流でした。どの分散剤が特定の粉体に適しているのか、その解明には時間と労力がかかっていました。このような背景から、株式会社コーセーの研究チームはハンセンの溶解度パラメータに着目し、分散剤の選定プロセスを体系的に構築することを目指しました。
『効果球』のコンセプト
『効果球』とは、ハンセンの溶解度パラメータを基に定義された、粉体が分散されやすい領域を示す概念です。これにより、粉体と分散剤の適切な組み合わせが一目で分かるようになります。ハンセンの溶解度パラメータは、物質間の親和性を評価するために、凝集エネルギーを3つの化学的性質で数値化し、三次元空間における距離を比較することで求められます。
具体的な研究手法
研究チームは、さまざまな分散剤と溶媒の組み合わせを試し、それぞれの粒子径の変化を評価しました。その結果、特定の分散剤が粉体を効果的に分散する領域を明確にし、これを『効果球』として定義しました。この領域により、分散剤の選定が格段に容易になり、さまざまな粉体製剤に応じた最適な分散剤を選ぶことが可能となりました。
効果球の実績
本研究の成果は、国内最大級の化粧品技術発表会である第2回日本化粧品技術者会学術大会にて発表され、44件の口頭発表の中から最優秀口頭発表賞を受賞しました。発表タイトルは「ハンセンの溶解度パラメータを用いた新規の分散性予測法『効果球』の開発」であり、これにより製品開発の新たなスタンダードが提示されました。
今後の展望
『効果球』の実用化により、粉体の分散性をコントロールし、発色や紫外線防御効果を向上させることが期待されています。これにより、消費者にとっての利用価値も高まることでしょう。株式会社コーセーは、今後もこの技術を活用し、ますます製品の高品質化を目指していきます。
最終的に、消費者の満足度を高めるため、モノづくりの基盤となる新技術の開発に力を入れていく意向を示しています。これからのコーセーの挑戦に注目です。