月面探査車YAOKI、パンチ工業の技術で夢を実現へ
パンチ工業株式会社が関与する「Project YAOKI 1(PY-1)」が、米国テキサス州に位置するIntuitive Machines社の施設において、月面探査車YAOKIの最終統合を成功させました。このプロジェクトは、民間企業による初の月面探査実現を目指すものです。
予定される打ち上げは2025年2月下旬。YAOKIは、Intuitive Machines社の月着陸船「Nova-C」に搭載され、SpaceX社のロケット「Falcon 9」により、ケネディ宇宙センターから月への旅に出発します。着陸地点は、月の南極付近が目標されている事が確認されています。
YAOKIの技術的背景
YAOKIの設計および開発には、パンチ工業の革新的な3D測定技術がふんだんに活用されました。特に、3Dスキャナーを用いた形状測定は、YAOKI本体やその輸送用収納ケース(デプロイヤー)のクリアランス設定に重要な役割を果たしました。この技術を通じて、月面探査の厳しい品質保証基準をクリアするための土台作りに寄与しました。
パンチ工業は、航空宇宙産業への参入を強化しており、3D測定サービス「3D計測パートナーズ」を通じて、YAOKIが求める品質基準を満たすための支援を行っています。YAOKIは月着陸後、収納ケースから飛び出し、自律的に探査を行う計画で、その際にケースと本体の間の適切な隙間を確保することが極めて重要です。このため、データを基にした検証を行い、最適な収納ケースの寸法や弾性体の厚みを導き出しました。
Project YAOKI 1(PY-1)について
このプロジェクトは、ダイモン社が開発する月面探査車「YAOKI」初の月面ミッションであり、YAOKIは世界で最も小型かつ軽量な月面探査車として、高い耐久性と機動性を兼ね備えています。ミッションの主な目的は、地球からのリモート操縦による月面走行と画像データの取得に関する技術実証です。月に着陸後、YAOKIは月面の詳細な接写画像を撮影し、これらのデータを地球に送信します。この情報は、月面環境の理解を深め、将来の月探査ミッションにとって貴重な基盤となると期待されています。
経済的・産業的背景
Intuitive Machines社は、米国の民間宇宙企業として活動しており、2024年には自社の月着陸ミッション「IM-1」に成功しました。YAOKIはこの「Nova-C」に搭載され、2025年に成功したミッションの流れを引き継ぎます。このことからも、YAOKI搭載ミッションへの期待は高まっています。
2023年5月には、パンチ工業とダイモンが技術パートナー契約を結び、このプロジェクトに参画することとなりました。YAOKIの開発には、株式会社UCHIDAなど多くの企業が協力しています。
パンチ工業の航空宇宙産業への取り組み
パンチ工業は、航空宇宙産業への進出を重要な経営課題として掲げ、以来関連の部品加工を中心に成果を挙げています。過去には、JAXAとの共同研究を通じてロケットエンジン部品の開発にも参与しました。今後も、得られた技術を地上の様々な事業に応用することが期待されています。
これからも、パンチ工業は信頼性の高いものづくりを通じ、次世代に豊かな未来を提供する企業であり続けることを目指して努力していきます。