じゅけラボ予備校が明らかにした総合型選抜入試の実態
近年、総合型選抜入試(旧AO入試)の受験が注目されています。じゅけラボ予備校(大阪市北区)が実施した調査によれば、受験生186名を対象に課外活動実績が合格率に及ぼす影響が分析されました。その結果、一般的な認識とは異なり、活動実績なしの学生が第一志望大学の合格率でわずかに優位に立つことが明らかになったのです。
調査の概要と結果
この調査は2025年6月から7月にかけて、インターネットを利用して実施されました。参加者は18歳から21歳の男女186人で、活動実績ありが153人、なしが33人という構成です。興味深いことに、国公立大学や難関私立大学への合格率では、「活動実績あり」の学生が圧倒的に多数を占める結果となりました。
国公立大学への合格率は5倍以上
結果として、活動実績ありの学生は国公立大学に16.3%が合格したのに対して、活動実績なしは3.0%に留まり、合格率に実に5倍以上の差が見られました。また、私立大学の難関校への合格者も同様で、「活動実績あり」の学生は24.2%だったのに対し、「活動実績なし」はわずかに6.0%と、やはり明らかな差が存在しました。これは、難関大学では学力だけでなく、学生の主体性や探究心が重視されることを示すものです。
第一志望合格率の意外な結果
一方で、第二の発見は第一志望に合格した割合に関するものでした。「活動実績なし」の学生が81.1%の合格率を見せたのに対し、「活動実績あり」の学生は78.7%に止まるという、意外な逆転現象が見られました。この背景には、目指す大学の選定戦略に違いがあると考えられます。活動実績がある学生はより高いレベルの大学を目指す傾向がある一方で、実績がない学生は自らの学力を見込んだ堅実な選択をすることが多いようです。
多様な進路選択の可能性
さらに、調査結果から「活動実績あり」の学生の69.3%がその他の私立大学へ進学していることも注目です。これにより、活動実績が難関大学への道を開くと同時に、学生たちが自らの興味や価値観に基づいて学校を選ぶ際の指針としても働いていることが示されました。現代の評価基準で、ただ偏差値だけでなく、自身の成長を表す「自分軸」で進路を選ぶことが重視されていることが伺えます。
アピール実績の多様化
この調査における自己アピールの実績を調べたところ、部活動(運動部/文化部)がそれぞれ34.1%、31.3%と、依然として主流を占めていました。これは、長期的な努力の姿勢が評価されるためです。ただし、校外活動や探究学習をアピールする学生も増加し、26.1%に達しており、新たな評価軸の台頭も見逃せません。これにより、大学はより多様な経験を求めるようになり、今後の進路選択においても多様性が重視される時代が来ると考えられます。
まとめ
今回の調査を通じて、総合型選抜入試における活動実績が持つ多面的な価値が浮き彫りになりました。活動実績は引き続き難関大学への「パスポート」となると同時に、学生が自身の針路を考える際の羅針盤としても機能しています。これからの受験生たちには、自己のユニークな経験を持ち寄り、成長の過程を自らの言葉で語ることが求められます。進化し続ける入試制度において、創造性と主体性が評価される時代が幕を開けようとしています。