確定拠出年金制度創設25年目の意義と課題を探る
2023年10月1日、確定拠出年金(DC)制度は25年目の節目を迎えました。この画期的な制度の成功と課題を検証するべく、一般社団法人確定拠出年金・調査広報研究所(DC広研)と浦田経営金融ラボ合同会社は、全国の36,496人を対象に実施した調査結果を発表しました。
調査結果の概要
DC広研の代表理事、瀧川茂一氏は、制度の位置づけと現状についての重要な見解を述べました。確定拠出年金法はDCを公的年金の補完制度と位置付けていますが、実際にはその目的に沿った運用がなされているのか疑問が残ります。今回の調査はDCの現状を確認するために実施され、制度が抱えるさまざまな課題が浮き彫りになりました。特に、客観的なデータの重要性が強調されています。
浦田経営金融ラボの代表、浦田春河氏もコメントを寄せており、約3割の参加者がDCの運用が「うまくいっている」と回答したことに注目しました。運用成績が良好であるという人々もいる一方で、DCを老後資金の足しにしない人が多数いるという現実も示されました。その背後には、運用ルールの複雑さや拠出限度額の低さが影響していると考えられています。
運用状況の実態
調査の結果、53%が「拠出限度額を知らない」と回答。また、事業主が拠出する掛金についても45%が無知であり、33%は運用商品の変更方法がわからないという実態が示されました。このような「知らない」「わからない」の声があふれる背景には、金融教育の不足があると指摘されています。実際、職場で金融経済教育を受けた経験がある人は49%で、企業規模によってその割合には差があります。
老後資金の確保とDCの役割
調査によると、DC加入者の44%が自分の加入したDCを老後資金の主要な収入源とは考えていないことがわかりました。DCは多くの人にとって退職一時金やNISA、貯金などに押されている状況です。このことから、DC制度が「公的年金の補完」としての役割を果たすためには、制度そのものの簡素化と周知、さらには拡大が求められています。
税優遇の実感とその限界
また、DCの税優遇を実感している人はわずか25%であり、その理由は「税の仕組みが不明である」とか「実感できない理由がわからない」ことが多いとされています。この現状は、税優遇の拡充が行動の変容につながらない可能性も示唆しています。政府によるマッチング拡充や、税優遇を超える新たなインセンティブの導入などの議論も必要とされます。
まとめ
確定拠出年金制度は、設立から25年目を迎えた今、改めてその意義と課題を問い直す必要があります。調査結果を受けて、業界全体での活発な議論が求められています。本調査がその一助となることは間違いありません。今後もDPの今後の拡充に向けた取り組みが期待されます。
オンライン報告会の案内
今回の調査結果を詳しく解説するオンライン報告会が10月15日(水)に開催されます。興味のある方はぜひお申し込みください。
詳細は、浦田経営金融ラボのウェブサイトからご覧いただけます。