東京科学大学 大岡山西5号館がウッドデザイン賞2024を受賞
東京科学大学の大岡山西5号館が、2024年に授与されるウッドデザイン賞で優秀賞を獲得しました。この賞は、木材の利用ついて社会の課題解決に貢献する活動を称賛し、さまざまな設計や製品を評価する顕彰制度です。SDGsやカーボンニュートラルの重要性が高まっている今、木材の取り組みはますます注目されています。
ウッドデザインとは、木材を活用し、新たな価値をデザインすることを指します。大岡山西5号館では、設計当初から木材のポテンシャルを引き出す工夫が施されており、それが受賞へと繋がりました。
設計コンセプトと建築概要
この建物は、東京科学大学の学問的中心であり、多様な機能が盛り込まれています。設計には、「集まって学ぶ」という価値観が反映され、大空間の積層を実現しています。大岡山駅から緑が丘駅を繋ぐ緑地軸に基づいて位置づけられ、階段状広場やテラス、外構の整備などが一体となった計画が採用されています。
主要構造部にはSRC(鉄骨造)とRC(鉄筋コンクリート造)が採用され、振動の影響を抑える設計がされています。また、750lx以上の高い照度が求められる製図室では、光の反射を抑える工夫がなされており、学ぶ学生たちに快適な環境を提供しています。
ゼロ塗装の効果
大空間のヴォールト天井は、音の反射を減少させるように設計されています。また無塗装の木材仕上げによって、木の香りを感じることができ、自然な成分であるα-ピネンの測定濃度が安静と集中をもたらす効果を生み出しています。手で触れられる木の壁面は、掲示板としての機能を持ちながら、木の温かみを感じさせます。
受賞の喜びと感謝
設計者である東京科学大学の那須聖研究室は、建築主、施工者と共にこのプロジェクトを実現させました。「ウッドデザイン賞」の受賞は、木の多様な効果を評価されての結果であり、利用者に木材の良さを実感させる機会を提供できたことは、非常に嬉しいことです。この受賞は、長年の研究と実践が結びついた証でもあります。
受賞式に際し、関係者への感謝の気持ちを述べ、今後も持続可能な社会を築く価値ある取り組みを続けていく意欲を新たにしました。
建物の詳細情報
- - 名称: 東京科学大学 大岡山西5号館
- - 所在地: 東京都目黒区大岡山2-12-1
- - 建築主: 国立大学法人東京科学大学
- - 設計者: 東京科学大学那須聖研究室、東京科学大学施設部、久米設計
- - 施工者: フジタ(三建設備工業、栗原工業、日立製作所)
- - 延床面積: 8,161㎡
- - 階数: 地上5階、地下1階
- - 構造: SRC造一部S造RC造
- - 竣工: 2023年9月
- - 受賞: ウッドデザイン賞2024
このように、東京科学大学の大岡山西5号館は、木の特性を最大限に活かし、学びの場に新たな価値を生み出しています。この取り組みは、未来の建築における一つのモデルケースとなることでしょう。