新たなバイオ農薬の可能性
2025-05-21 14:24:00

新たなバイオ農薬誕生の兆し:摂南大学の研究が明らかにしたトマト病害の防止策

摂南大学、トマトの病原菌を食べる菌を発見



摂南大学の研究チームが新たな発見をしました。彼らは、トマト栽培における深刻な病気である葉かび病に対抗するための新しいバイオ農薬の開発に寄与する菌寄生菌、Hansfordia pulvinataを見つけました。この研究は、トマトにおける病害の防止策として環境に優しい方法の提供を目指しています。

研究の背景


トマトはその栽培の際、湿度が高い環境で発生しやすい葉かび病に悩まされています。この病気は、トマト農家にとって大きな障害であり、さまざまな抵抗性品種や化学農薬が市場に登場していますが、病原菌側も耐性菌を生むことが増えているため、新たな防除技術が求められていました。

新たな菌寄生菌の発見


研究チームは、葉かび病菌に寄生するHansfordia pulvinataの抗菌性化合物「デオキシフォメノン」に関する遺伝子群を特定しました。この化合物は、元々別の菌類において胞子形成を促進する役割を持っていましたが、Hansfordia pulvinataでは寄生する植物病原菌に対する抗菌物質として生産されるよう進化を遂げたことが明らかになっています。

水平伝播の発見


さらに、研究チームは、デオキシフォメノンの生合成能力がAspergillus属の菌から水平伝播によって取得されたことも発見しました。このことは、進化の過程において、異なる菌類間での遺伝子の交流という興味深い現象を示しています。特に、Aspergillus oryzae、いわゆる麹菌もこの遺伝子クラスターを持っており、今後の研究がさらに進むことが期待されています。

環境に優しい農業への貢献


この研究成果は、新たなバイオ農薬の開発へとつながる可能性があります。従来の化学農薬は耐性菌の出現が問題とされ、開発には大きなコストがかかりますが、自然の中に存在する生物の力を借りることで、より持続可能な農業を実現できるかもしれません。今後は、Hansfordia pulvinataを利用した新しい防除技術が実用化されることが期待されています。

まとめ


摂南大学のこの研究は、トマト栽培における新しい可能性を切り開くものです。著作権のある論文は、2025年に国際学術誌「mBio」に掲載される予定で、今後の研究の進展に注目が集まります。


画像1

会社情報

会社名
学校法人常翔学園
住所
大阪市旭区大宮5-16-1
電話番号

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。