国産航空燃料の未来を切り開く「Fry to Fly Project」が始動
2024年、航空業界への特別なニュースが届きました。阪急阪神不動産、阪急阪神ホテルズ、日揮ホールディングス、レボインターナショナル、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYの企業が手を組み、廃食用油を原料とする持続可能な航空燃料(SAF)製造事業に関する基本合意書を締結しました。このプロジェクト名は「Fry to Fly Project」。
このプロジェクトは、化石燃料以外の原料を用いて作られるSAFの導入を促進し、CO2排出量を大幅に削減することを目的としています。具体的には、国内資源を最大限に利用し、環境にやさしい形で航空業界の脱炭素化を進めることが目指されています。SAFの製造において、原料が100%廃食用油の場合、従来の航空燃料と比較してCO2排出量を約80%も削減可能です。
国際民間航空機関ICAOが2019年比でCO2排出量を85%以下に抑える目標を掲げる中、SAFはその達成に向けた重要な手段とされています。日本の経済産業省と国土交通省も協力して、SAFの導入促進に向けた官民協議会を設置するなど、導入を加速しています。
各社の役割と長年の取り組み
阪急阪神不動産は2011年から廃食用油の回収を行い、これまでに110物件、11,000戸の入居者様から約42,000リットルの廃油を集めてきました。このプロジェクトを通じて、今後はこの回収した油をSAFに提供する方針です。
阪急阪神ホテルズも、2008年よりレストランから発生する廃食用油の回収を行っており、現在は4つのホテルでその取り組みを展開。これにより、蓄積されたノウハウを活かし、より多くの廃食用油をSAF製造に提供する予定です。
日揮ホールディングスはSAF製造事業に関するサプライチェーンの構築を担当し、レボインターナショナルが廃油の回収・管理を行います。これにより、SAFFAIRE SKY ENERGYがSAFを製造する体制が整っています。
プロジェクトの未来と意義
「Fry to Fly Project」は、廃食用油という国内に存在する資源を航空機の燃料として変換することで、持続可能な社会の実現に寄与する事業です。「全国で航空燃料が廃食用油から生まれる世界」の実現を側面から支援するプロジェクトで、212の企業、自治体、団体が賛同して参加しています。
このプロジェクトをサポートすることで、私たちは日常生活で出る廃食用油を利用しながら、持続可能な未来を築くことができるのです。
今後、この取り組みがどのように進展していくのか、私たちも注視していきたいと思います。