日系企業の中国撤退が加速する中、必要な手続きとは

日本企業の中国撤退の現状と手続き

2025年8月8日、新日本法規出版株式会社が公開した法令記事「中国からの撤退」に焦点を当て、日系企業の現地からの撤退が加速している背景やその手続きについて解説します。

日系企業の中国撤退が加速

中国・大連での経済状況が不透明な中、日系企業の撤退が見られています。筆者は、この地域の現地事務所での経験を元に、2014年からの数年間で多くの企業が撤退を余儀なくされていることを報告しています。特に、新型コロナウイルスや国際情勢の変化が影響し、撤退の判断が求められている企業が増えています。

撤退手続きの種類

新日本法規では、日系企業が中国現地法人を撤退する際の代表的な手続きとして、以下の3つを紹介しています。

1. 持分譲渡

持分譲渡は、会社の株式持分を譲渡することで撤退を図る方法です。この手続きは、従業員の雇用維持などのメリットがありますが、譲受先を見つけることが課題となります。一定の財務状況や取引先の関係を精査する必要があるため、専門的な助言が求められます。

2. 清算

持分譲渡が難しい場合には、会社の清算を行うことが選択肢となります。このプロセスでは、全ての債務を返済し、従業員への対応を含む複雑な手続きが必要です。中国では、2017年に導入された「簡易登記抹消制度」があり、2024年には改正会社法が施行され、さらに手続きが明文化されます。

3. 破産

企業破産法が施行されてから約16年が経ち、条件を満たせば日系企業でも破産申請ができるようになりました。かつては申請が受理されないこともありましたが、近年では制度運用の改善が見られ、改めて破産手続きに関する状況が整理されています。

撤退支援の重要性

現在、筆者は日本人投資家が出資する合弁企業の撤退支援を担当しており、自動車部品メーカーのケースで顧客関係の維持、品質管理、在庫管理、従業員への配慮といった多岐にわたる課題に直面しています。法的トラブルを回避しながら債権債務を整理することが、スムーズな手続き開始の鍵です。

まとめ

新しい法令記事「中国からの撤退」では、日系企業がどのようにして中国から撤退するかに関する具体的な事例が紹介されています。詳細な手続きや注意点に関する情報は、下記のリンクから確認できます。企業の今後の戦略について考える上でも、貴重な知識となることでしょう。

執筆者：夏目武志（弁護士）
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