温暖化を防ぐ新たな一手
近日、Eサーモジェンテックが発表した新技術は、産業界での排熱問題に一石を投じるものです。同社が開発したフレキブル熱電発電モジュール「フレキーナ」は、これまで活用されなかった低温排熱を集めて変換し、高効率で電力を回収できる能力を持っています。従来の技術では採取が難しかった300℃以下の低温排熱を、さまざまな産業から回収しエネルギーを再利用する取り組みが進んでいます。
低温排熱の未利用を解消
現代の産業活動において、大きな問題となっているのが産業排熱です。特に水蒸気やガス状態で排出される低温排熱は、これまで有効に利用されずにいました。Eサーモジェンテックは、独自の熱電発電技術を用いることで、この莫大なエネルギーを「フレキーナ」により有効活用できる道を切り開きました。
企業が工場で排出する水蒸気やガスから、直接電力を生成するその方法は、二重管構造を持つ熱電発電チューブを使います。この発電モジュールは、温水を使った効果的な熱回収システムを備え、175℃の水蒸気からも高効率で電力を生成します。川崎重工業との共同開発によってその効率性と信頼性が証明され、すでにモデルシステムでは6kWの出力が確認されています。
ガス排熱の活用
また、さまざまな産業で排出されるガス排熱に対しても、同様に独自の集熱コアを活用した発電システムが開発されています。こちらも350℃の状態から効率良く電力を回収することを可能にした技術です。これまで課題となっていた熱抵抗を低減し、発電システム全体の効率を向上させました。400Wの出力を実現したこのシステムは、さらなるエネルギー自給自足の実現へとつながります。
環境保護と経済性の両立
Eサーモジェンテックの技術は、経済合理性を持ちながら環境保護に寄与するものです。発電機の稼働部を持たない構造のため、維持費が低く抑えられ、工場やプラントの利益を圧迫しない設計となっています。各ユニットが小型化されているため、導入の障壁を下げ、多様な排熱源にも対応可能で、今後のスケールアップが期待されます。
国際会議での発表
これらの技術は6月の国際会議「The 41st International and 7th Asian Conference on Thermo-electronics (ICT/ACT 2025)」でも発表され、多くの研究者や業界専門家からの注目を集めることでしょう。Eサーモジェンテックはこれからも、地球環境問題の解決に向けた新たな挑戦を続け、多くの企業や研究機関との連携を進めながら、更なる技術革新を図る意向です。
まとめ
Eサーモジェンテックの熱電発電モジュール「フレキーナ」は、「低温排熱」という未利用の資源を有効活用できる画期的な技術です。これにより、企業は温室効果ガスの削減だけでなく、コスト削減にも貢献できることが期待されます。今後も、この技術が産業界に与えるインパクトを注視し、持続可能社会の実現に向けた進展に期待しましょう。