教育現場における生成AI活用調査、期待と現実のギャップが浮き彫りに

教育現場における生成AI活用調査

アルサーガパートナーズ株式会社が最新の調査を発表しました。全国の283名の教職員を対象に、教育現場での生成AIの利用状況を分析した本調査は、便利なはずのAIが実際にはどのような効果をもたらしているのか、またどのような課題が存在するのかを明らかにしています。調査結果からは、AIに対する期待と実際の活用状況との間に大きなギャップが見えてきました。

調査結果の概要

調査は、2025年7月22日から29日までの間、インターネットを通じて実施されました。その結果、生成AIを
業務で活用している教職員は37.2%にとどまる一方、54.2%は「活用していない」と回答。これは、現段階では半数以上の教育現場でAIが導入されていないことを示しています。しかし、生成AIの活用に対する考え方についてたずねると、61.9%の教職員が「とても前向き」または「やや前向き」と応じており、これからの普及に対する期待が高まっていることがわかります。

一方、生成AIの導入によって業務が軽減されたと実感している教員は28.6%にとどまるという結果も出ており、53.0%は「軽減されていない」との答えでした。中でも、特に中学校教員の約4割は負担軽減を実感している一方で、他の職種では半数以上が逆に業務負担が増加したと感じています。この背景には、AIの出力を確認する手間や、生徒の成果物がAIによるかどうかを見分ける必要があるなど、新たな業務が増えたことが要因として挙げられています。

AI導入による教師と生徒の関係性に注目

生成AIが教師と生徒の関係性に与える影響についても調査が行われました。「関係性が変わらない」と答えた教職員が64.0%と多数を占めており、AI導入によって従来の信頼関係が損なわれていないことが印象的でした。その一方で、「生徒の質問の質が向上した」や「教師が個別指導に集中できるようになった」といったポジティブな変化も見受けられました。

しかし、AIが関与したことで「コミュニケーション量が減少した」との懸念も存在します。この点を考慮すると、AIの導入は教師と生徒間のコミュニケーションの質に影響を与える可能性があり、今後の研究が必要とされます。

学習スタイルの変化と今後の展望

調査結果は、生徒の学習効率向上に関する明確な回答は見られませんでした。22.3%の教職員が学習効率の向上を実感しているものの、46.3%は「いいえ」と回答。今後、AIを活用して学習の質をさらに高めていくためには、どのような導入方法が効果的かの検討が必要です。

具体的に生徒の学ぶ形に変化が見え始めており、生徒が疑問を即座に解消できる環境や、復習・予習が効率的に行える点が報告されています。こうした進展から、AIは学びに幅をもたらすツールとしての可能性を秘めています。