富士通とヘッドウォータースが日本航空の業務を効率化へ向けたAI実証実験を実施

富士通とヘッドウォータースが手掛ける飛躍的な業務効率化

富士通株式会社と株式会社ヘッドウォータースが、業務特化型の生成AIソリューションを用いて日本航空の客室乗務員の業務効率化を図る実証実験を開始しました。この取り組みは、客室乗務員がフライト中に引き継ぎレポートを作成する際の負担を大幅に軽減し、業務の質の向上を目指しています。

実証実験の背景

日本航空では、引き継ぎレポートの作成が重要な業務である一方で、業務の効率性が求められています。この課題を解決するため、富士通とヘッドウォータースは、空港での業務の新たな可能性を模索し、生成AIを活用した新しいレポート作成の方式を提案しました。

オフライン環境での生成AIソリューション

この実証実験では、従来の大規模言語モデルに代わって、Microsoft社の小規模言語モデル（SLM）である「Phi」を活用しました。このSLMは、オフライン環境でも機能するため、客室内で安定した動作が可能です。タブレット端末上でのチャット形式で情報を入力することで、自動的にレポートが生成される仕組みが構築されています。

実証実験の概要

実証期間

2025年1月27日から2025年3月26日までの予定です。

実施場所

東京都大田区の羽田空港にて、技術センターでの実施を行います。

実証内容

客室乗務員がタブレットを使ってチャット形式で情報を入力し、それをもとに引き継ぎレポートを自動生成します。この方式により、報告作成にかかる時間を大幅に削減できることが確認されています。さらに、AIのサービスである「Fujitsu Kozuchi」を活用し、過去のレポートデータを基にファインチューニングを行い、JALの業務スタイルに特化したモデルが開発されています。

企業の役割と専門技術

富士通の貢献

富士通は「Fujitsu Kozuchi」を通じて培った技術力を生かし、業務の特化型生成AIモデルの開発に寄与しています。このプロジェクトは、富士通にとっても重要な意味を持ち、オフライン環境での生成AIの適用可能性を示すものです。富士通の本部長、宮田伸一氏は、この実証実験が様々な業種での業務改善の可能性を示していると語ります。

ヘッドウォータースの技術

株式会社ヘッドウォータースは、オフライン環境で稼働可能な生成AIアプリケーションを開発し、量子化技術を用いた処理の軽量化を実現しました。これにより、タブレット端末の性能を最大限に引き出し、操作の快適さが向上しています。篠田庸介氏は、今回のプロジェクトが航空機内での生成AIの可能性を示すものであると強調しました。

期待される成果

この実証実験を通じて、レポート作成に関わる作業時間の大幅な短縮が期待されています。また、生成AIによって得られた自然な表現のレポートは、客室乗務員の業務負担を軽減し、さらなる顧客サービス向上にも寄与するでしょう。JALの鈴木啓介氏は、生成AIの導入が業務の効率化とサービス向上の両立を実現するものであるとコメントしています。