近年、IT/Webエンジニアの働き方は大きく変化しています。特にフリーランスエンジニアにとって、フレキシブルな働き方が重要視されるなかで、正社員への転向を模索する人々も増えています。
調査を行ったファインディ株式会社によると、フリーランスから正社員に転向を検討したことがあるエンジニアは37.0%に達し、そのうちの10.8%が実際に正社員としての職を経験しています。この振れ幅は、フリーランスという働き方の自由さと正社員の安定性を天秤にかけている結果とも言えるでしょう。
正社員転向を決める重要なポイント
フリーランスから正社員への転向を考える際、エンジニアたちは特に「人や会社の魅力、将来性、年収などの希望条件」を重視しています。具体的には、業務委託でも魅力的なカルチャーや社員同士の助け合いを感じられること、さらには年収や福利厚生が自身の期待に応えるものであることが重要です。
例えば、「業務委託でも真摯なコミュニケーションをとってくれた」や「会社の雰囲気が非常に良い」といった声が聞かれました。また、企業の将来性についても注目され、長く働けるプロダクトがあると感じたエンジニアも多いようです。
転向後のマネジメント職の経験
面白いことに、正社員へと転換したフリーランスエンジニアの約60%は、転向後にマネジメント職を経験しています。具体的には、プロジェクトマネージャー、エンジニアマネージャー、プロダクトマネージャーといった職種に就いています。このような傾向は、フリーランスとして多様なプロジェクトを経験してきたことが大きな武器になっているのでしょう。
正社員転向を躊躇する理由
一方、正社員への転向を考えたものの実行に移さなかった理由として、年収やリモート勤務の条件が合致しないことが挙げられます。「フルリモートが廃止された場合、業務委託を選ぶ」といった声もあります。フリーランスエンジニアの74.3%がフルリモート勤務を希望する背景には、通勤時間の削減や家庭の事情が作用しています。
特に通勤の煩わしさ、地方在住によるリモート勤務の必要性、育児や介護のニーズが強く影響を及ぼしています。これらの条件が整わなければ、エンジニアは業務委託という働き方を選ぶことを優先する姿勢が見えます。
企業が求めるものとは?
このような背景を踏まえると、企業としてはフリーランスエンジニアと正社員のハイブリッドな働き方を支援する体制を整える必要があります。エンジニアが安定した環境で働けるよう、企業文化の魅力やキャリアパスの多様性を提供することが求められます。これにより、エンジニアの能力を最大限に引き出すことができるはずです。
ファインディ株式会社の執行役員である扇谷勇多さんは、企業の人材戦略の変化がフリーランスエンジニアを吸引していると指摘しています。生成AIの進化やチーム内製化が進む中、今後もフリーランスと正社員の関係はさらに深化していくことでしょう。エンジニアが自由に挑戦できる環境を提供することが、企業の成功につながる可能性を秘めています。