ネット詐欺リポート 2023年7月度
毎月発表されるネット詐欺リポートでは、最新のデータ分析が行われ、詐欺サイトの傾向や対策がまとめられています。特筆すべき点は、7月度における証券関連のフィッシングサイトの増加です。特に、野村証券を狙った詐欺が大幅に増加し、前月の約5倍にも達しました。
野村証券のフィッシングサイトの急増
最近数ヶ月、証券分野でのフィッシング詐欺が悪化しています。7月に入ってから、野村証券のフィッシングサイトの数は急激に増え、前月と比べてその数は驚異的に増加しました。この動きは金融業界全体に影響を及ぼし、他の証券会社のフィッシングサイトも増加傾向にあります。特に、マネックス証券やSMBC日興証券も攻撃対象となっており、注意が必要です。
金融庁によると、全体の不正取引件数は減少傾向にあるものの、不正に関連した取引の金額は6000億円を超えており、依然として警戒が求められます。
公的機関を装った偽サイトの出現
最近では、警視庁や検察を装った偽のウェブサイトも確認されています。このようなサイトでは「逮捕状が発行されています」といった恐怖を煽るメッセージを送り、リンク先に誘導する手口で金銭を詐取しています。この方法に騙されないよう、警察相談専用電話『#9110』を利用するなど、安心して相談できる仕組みを利用することが重要です。
フィッシングサイトブランドランキング
7月のフィッシングサイトブランドランキングでは、SBI証券が首位を保持し、報告されている数は先月の2倍に達しました。いっぽう、JAバンクも今回のランキングに新たに登場し、フィッシングサイトの報告数が大幅に増加しています。こうした情報からも、詐欺のターゲットが広がりつつあることが伺えます。
カテゴリ別構成比と傾向
7月度は、証券関連のフィッシングサイトが顕著に増加し、その構成比が大きく上昇しました。特に、SBI証券によるサイトの増加が影響しています。銀行カテゴリではJAバンクが3倍以上の増加を見せたことなども話題となっています。これにより、多くの金融関連サービス利用者がリスクに晒されています。
フィッシング詐欺被害防止のポイント
フィッシング詐欺から身を守るためには、以下の対策が必須です。まず、メールやSMSに記載されたURLが正しいものであるかを確認しましょう。安易にクリックせず、公式のブックマークや検索を利用して正規のサイトにアクセスすることが勧められます。次に、個人情報を求めるメールには注意が必要で、クレジットカード会社などからもそのような連絡が来ることはありません。
さらに、同じパスワードを複数のサイトで使用することは避けるべきです。セキュリティソフトの導入も推奨され、不審なサイトへの警告を受けることでリスクを軽減できます。
森達哉教授のコメント
早稲田大学の森達哉教授は、7月度のネット詐欺レポートに関して「証券系サービスを装うフィッシング攻撃が一段と深刻化している」と指摘しています。また、攻撃者が意図的に複数の証券会社をターゲットとしていることは、特に注意を要する点です。さらに、公共機関を装った新しい手口に関しても警戒が必要です。こうした犯罪の巧妙化に対抗するためには、正しい情報を持ち周囲と共有することが重要で、日常的な警戒が欠かせません。最後に、被害を未然に防ぐための意識を高めることが今後の課題です。