大阪大学発医療ベンチャー、NSGとの提携
株式会社アイキャット(iCAT Corporation)が、日本板硝子株式会社(NSG)との間で、モバイルリアルタイムPCR装置「PicoGene® PCR1100」の正規販売代理店契約を結びました。この契約により、iCATは2024年3月より「PicoGene® PCR1100」の販売を開始します。
背景:PCR装置のニーズとその課題
近年、遺伝子検査に対する需要が高まってきましたが、従来のPCR装置は、主にラボ専用であり、大型で技術的にも特殊な知識が必要な外国製品が主流です。このため、小規模・中規模の検査施設が導入するには高いハードルが存在しました。その中で、iCATはNSGの独自技術を活用した「PicoGene® PCR1100」に注目しました。これにより、持ち運び可能で簡便ながらも、大型装置と遜色ない性能を実現することができました。
「PicoGene® PCR1100」の特徴
「PicoGene® PCR1100」は、その名の通り、モバイル性を重視した新しいタイプのリアルタイムPCR装置です。各種検査が迅速かつ高精度に行えるよう、設計されており、業界内でも非常に注目されています。
装置の仕様
- - サイズ:高さ200mm × 幅100mm × 厚さ50mm
- - 重量:約560g
- - 内容物:本体、CD-ROM(PCソフトウェア)、専用USBメモリー
この装置は、蛍光波長3タイプ(FAM, ROX/HEX, Cy5)のマルチプレックスに対応するプローブ法を採用しており、独自の迅速測定技術によって約10分で結果を出すことが可能です。また、Bluetoothや専用USBメモリーを利用してデータを簡単に転送できる機能を備えています。加えて、15種類の測定プログラムを内蔵しており、装置自体でプログラム変更も行えます。安全面でも、過熱防止機能を搭載し、安心して使用することができます。
今後の展望
「PicoGene® PCR1100」は、既知の感染症だけでなく、今後発生する可能性のある未知の感染症への対応も視野に入れています。iCATは、withコロナ、さらにはアフターコロナの時代において、歯周病を含む様々な感染症検査のアプリケーションを順次拡充していく計画です。将来的には、この装置の医療用途での承認取得も目指しています。
会社概要:iCATとNSGの役割
iCATは、大阪大学の歯学部の研究成果を基にした大学発のベンチャー企業です。2003年の設立以来、歯科診療に必要な技術革新を進めてきました。最近では、AIを活用した診断システムや感染症対策事業にも力を入れており、特にコロナ禍においては個人用防護具や感染症対策機器の取り扱いを開始しています。このたびのPCR事業は、感染症対策の主要な取り組みとして位置付けられています。
一方、NSGは、建築用や自動車用のガラス製品を製造する日本の大手企業で、世界規模での展開を図っています。両社の提携により、最新技術を活用したPCR検査の普及が期待されます。
今後も、iCATは迅速かつ高精度なPCR検査の普及を促進し、新型コロナウイルスやその他の感染症の研究に貢献していく意向です。医院や検査施設での導入が進むことにより、より多くの人々の健康と安全をサポートすることが期待されます。