岡野バルブの革新による下水道調査の未来
2025年10月、岡野バルブ製造株式会社は自社初となるドローンを使った下水道調査を岡山市で実施しました。この取り組みは、全国の自治体に対する新しいサービス展開の端緒として位置付けられており、急速に進行する下水道インフラの高経年化に対応するための重要なステップです。
実施背景
国土交通省の報告によると、2023年度末には全国の下水道管渠の総延長が約50万キロメートルに達し、そのうち約4万キロメートルが標準耐用年数を超えた老朽管となっています。このような背景の中、下水道管内における硫化水素の発生などが作業の危険要素となり、維持管理の調査や対策が難しくなっています。特に、最近発生した八潮市での道路陥没事故を受け、調査体制の強化が急務とされています。
岡野バルブは、千葉県のLiberawareと提携し、ドローンによる調査方法の研究を進めてきました。 北九州市での初の実績に続き、今回の岡山市での実証試験は、さらに進化した手法の導入を意味しています。
実証内容
今回の調査は、巌井ポンプ場近くの50年以上経過した下水道管を対象に行われました。岡野バルブが操縦するLiberaware製の超狭小空間点検ドローン「IBIS2」を使用し、内部の状況を確認しました。機体には高輝度照明とフルHDカメラが搭載されており、GPS信号が届かない環境でも効果的に管壁を撮影することができました。
特に、直径約20センチメートルという小型サイズと防塵・防滴設計のIBIS2は、狭い空間での飛行を可能にし、錆びたナットや壊れたはしごの映像を取得することに成功しました。この新たな調査方式により、事故のリスクを軽減し、効率的なデータ収集が実現しました。
未来への展望
岡山市とは今後も定期的に協議を行い、ドローンを活用した下水道管の定期点検体制の構築を進めます。さらに、老朽化した地方自治体のインフラ維持にも力を入れ、全国的な展開を図っていく予定です。技術面では、点群化やAI解析技術を導入し、クラックや漏水、付着物の自動検知、さらには進行度予測を目指します。
岡野バルブ製造は、1926年の創業以来、高温高圧バルブの開発・製造に従事し、社会インフラの発展に寄与してきました。今回のドローン活用により、インフラの維持管理に新たな革新をもたらし、作業者の負担軽減と安全性向上に努めていく所存です。
岡野バルブ製造株式会社については、発電用バルブに特化した製造業のリーダーとして、時代の潮流に合わせた進化を続けています。今後も地域社会に貢献する活動に力を入れていきます。