教職員の超過勤務、短い準備期間の影響
2025年度の新年度が始まり、全国の教職員を対象に実施されたアンケートの結果が公開されました。この調査では、年度の始まりが教職員の働き方にどのような影響を与えているかが問われました。
毎年、4月1日から新年度がスタートするものの、教職員が実際に業務に従事する準備期間は非常に限られています。この狭間で、多くの教職員が業務に追われる現実が浮かび上がっています。本来、学校内のコミュニケーションを促進し、共通のビジョンや新年度の目標について話し合う時間が必要ですが、現実はそのような余裕がありません。当然、前年の運営の流れに依存せざるを得ず、新しい体制やカリキュラムの準備が不十分なまま新年度を迎えることになってしまいます。これは、多くの教職員が蓄積された負担を抱える原因ともなっています。
このアンケートは、2023年度から続く調査で、今回が第三回目。対象は全国の小から高校年齢の生徒が通う一条校で働く教職員です。調査期間は2025年の4月18日から5月19日までで、61件の回答が寄せられました。
アンケート結果の概要
調査結果の中で特に注目すべきは、教職員の超過勤務の実態です。まず、今年の始業式が最も多く行われたのは4月8日で、約49%の学校がこの日に開始しています。昨年度は70%がこの日で開始していることから、年度ごとの傾向にも変化が見られます。また、主な受け持ちの通知時期に関する結果では、38%の教職員が「修了式以降、3月中」に知らされたことがわかり、準備期間の短さが続いていることが伺えます。
超過勤務の実態
特に深刻なのは超過勤務の状況です。回答者全体の66%が4月1日から始業式までの間に、1日あたり2時間以上の超過勤務をしていると答えています。そのうち「4時間以上」の超過勤務をしているとした人は23%に上り、前年よりも増加しています。特に小学校では53%が3時間以上の超過勤務を行い、13%が6時間以上を記録するなど、教職員にとって厳しい条件が続いています。
土日の出勤に関しても調査が行われましたが、全体の64%が「土日出勤はしていない」と回答しており、前年より17ポイント増加しました。しかし、いまだに小学校教員の17%が土日に両日出勤している現実も確認されています。
業務時間のばらつき
さらに新年度最初の土日で何時間業務を行ったかに関する結果も挙げられます。39%が「業務はしていない」と回答し、この数字は前年と比べて増加していますが、小学校では13%が「20時間以上」と答えるなど、業務時間には依然として大きなばらつきが見られました。
まとめ
本調査は、教職員が新年度を迎える際の労働環境とその実態を明らかにしました。超過勤務や休日出勤の実態は過去数年と比較すると改善傾向にあるものの、依然として多忙な状況が続いていることが各種数値からも明らかです。今後も教職員が働きやすい環境を整えるための施策が求められます。