株式会社バイオームとJAXAの共同研究
京都府京都市を本拠地とする株式会社バイオームは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究を開始したことを発表しました。このプロジェクトのテーマは「半自然生態系の状態評価における衛星データと生物データ統合モデルの実現可能性検証」です。今回の研究の目的は、衛星データと独自の生物データベースを統合し、本来評価が難しい生態系の状態や質を新しく評価する手法を開発することです。
共同研究の背景
日本には人為的な影響を受けない自然生態系のほかに、水田やため池、草地、二次林などの半自然生態系が広く存在しています。これらのエコシステムはそれぞれが豊かな生物多様性を育んでおり、適切に管理されることが重要です。しかし、適切な保全が行われない場合、これらの生態系は劣化する危険性が高まります。そこで、生物多様性の保全に向けた新たな技術と方法論が求められています。
共同研究の内容
この研究では、JAXAが持つ高解像度の土地利用・土地被覆データと、バイオームが手がけるスマートフォンアプリ「Biome」から得られる1,100万件を超える生物データを統合します。これにより、多様な環境における草地や湿地の状態や質を評価する新しいモデルの構築を目指しています。また、このデータセットや分析フレームワークは海外にも展開可能とし、より広域な生物多様性評価に寄与することが期待されています。
期待される成果
成果としては、政策面で「30by30」の目標達成に向けた客観的な情報提供が挙げられます。生態系の分布や変化を継続的に把握できる情報は、OECM(Other Effective area based Conservation Measures)や自然共生サイトの拡大にも寄与します。さらに、産業界においては企業が自然に関連したリスクや機会を評価するための基礎情報としても活用されると期待されています。
株式会社バイオームについて
株式会社バイオームは、「生物多様性の保全を社会の当然に」をモットーに掲げ、京大発のスタートアップ企業です。独自のAIを駆使して生物の名前を判定し、いきものコレクションアプリ「Biome」を展開しています。このアプリはゲーム感覚で生物探しが楽しめるため、多くの利用者を集め、累計129万ダウンロードを突破しました。2026年8月現在、1,100万件以上の生物データを蓄積しており、これらのビッグデータを通じて企業の自然関連財務情報の開示支援や自然共生サイトの認定支援なども展開しています。バイオームは、地域の実測データを用いた分析を行い、環境保護と経済的合理性が両立する社会基盤の構築を目指しています。
この共同研究が成功すれば、日本の生物多様性保全における新たなステップへと繋がることが期待されます。