冒険の舞台、浅間山での挑戦
新刊『カモシカと進化をめぐる冒険 山の上の生存戦略』が、11月17日(月)に文一総合出版から出版されます。本書は、ニホンカモシカの生息密度が全国平均の約10倍という「カモシカの楽園」と呼ばれる浅間山を舞台に展開されます。この区域で、若き研究者の高田隼人氏が、原始的な姿をとどめる「生きた化石」ニホンカモシカの進化の謎を探求します。
高田氏は、過酷な雪山でのフィールドワークに挑む一方で、果敢にも24時間ぶっ通しでカモシカを追い続けたり、氷点下5度の厳しい環境で数時間にわたり静かに見つめ合うという、不屈の精神を発揮します。このような挑戦を通じて、高田氏は多くの出会いと体験を重ね、研究への情熱をさらに燃え上がらせていきます。
人と動物との特殊な関係
本書の中では、単なる観察を超えた、深いつながりが描かれています。野生動物との出会いや、恩師、フィールドワークのエキスパートたちとの交流を通じて、高田氏は自身の研究にますますのめり込んでいきます。彼の視点が広がっていく様子は、カモシカたちの変化との共通点があり、読み手にも共感を与えます。
さらに、著者は長期にわたりカモシカを観察する中で個体を識別し、名前を付け、彼らの行動を追います。単なる動物観察を超え、カモシカの意外な素顔や、個体間でのドラマティックな関係性が浮かび上がる様子は、読者に新鮮な発見をもたらします。
進化の物語に広がる考察
フィールド観察を通じて見えてくるものは、カモシカそのものだけではありません。「生きた化石」として知られるカモシカの社会性の変化は、氷河期の環境の変化と流動的に結びついていきます。高田氏は、カモシカの行動を通じて、過去の知見や進化のストーリーにまで考察が広がります。読者は、観察の奥深さや、研究が持つ醍醐味を体感できることでしょう。
著者について
髙田隼人氏は1991年、東京に生まれました。東京農工大学農学部附属野生動物管理教育研究センターの特任准教授として活躍し、過去には山梨県富士山科学研究所の研究員も務めていました。彼の専門は行動生態学で、ニホンカモシカを中心に、レビヤヒョウやニホンジカなどの研究も手掛けています。フィールドでの観察に特にこだわりを持ち、サッカーとヒップホップを愛する彼の姿勢は、多くの若手フィールドワーカーに影響を与えることでしょう。
まとめ
この本は、研究者としての高田氏の成長の軌跡を辿りながら、カモシカという魅力的な生き物の生態を知るための第一歩となる一冊です。彼の情熱と探求心が読者にも伝わり、自然や生物への興味を引き起こすきっかけとなることを願っています。カモシカを通じた進化の物語にぜひ触れてみてください。