リブロファズ配合皮下注:新たな治療の承認
2023年10月、ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下、J&J)が発表したところによると、同社の皮下投与製剤「リブロファズ®配合皮下注」が日本での製造販売承認を取得しました。この承認は、EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の進行・再発非小細胞肺癌患者に向けた新たな治療法を提供します。リブロファズは、皮下投与製剤として日本国内では初めての承認を受けた薬剤です。
治療の利便性と効果の向上
リブロファズは、従来の点滴静注製剤に比べて、投与時間を数時間から約5分に短縮します。これにより、インフュージョンリアクション(IR)の発現率も減少し、医療現場での負担軽減が期待されています。具体的には、従来の静脈内投与群では66%となったIRの発現率が、皮下投与ではわずか13%となっており、患者の治療体験の向上に寄与しています。
国際共同第III相試験PALOMA-3の結果によると、リブロファズは従来治療と同等以上の効果を示しており、アミバンタマブ(遺伝子組換え)の皮下投与とラゼルチニブの併用が評価されています。
進行・再発NSCLCの課題とリブロファズの期待
肺癌は、全世界で最も一般的ながんの一つであり、その死亡率も非常に高いことで知られています。全ての肺癌の約80%から85%を占める非小細胞肺癌(NSCLC)の中でも、EGFR遺伝子異常を有する患者は特に多く、治療選択肢の拡充が求められています。リブロファズ剤は、安全性が確認され、有効性が示された新しい選択肢となることが期待されています。
医療従事者も期待を寄せる
和歌山県立医科大学の赤松弘朗准教授は、リブロファズ配合皮下注の承認は「EGFR変異陽性のNSCLC患者と医療従事者にとって、治療を改善する嬉しいニュースです」とコメントしています。QOLの向上と患者への配慮を求める声が高まる中、これにより患者にとって本当に大切な時間を持てるようになると考えられています。
企業のビジョン
J&Jの代表取締役社長、クリス・リーガー氏は「リブロファズ皮下注製剤は、患者さんの一次治療での利便性を向上させることで、長期的な生存延長に寄与できることを期待しています。患者さんが安心して治療を続けるための環境を整えるために、今後も取り組んでいきます」と述べています。
結論
リブロファズ®配合皮下注は、非小細胞肺癌の新たな治療の星となる可能性を秘めています。医療現場での実用性、患者のQOLの向上を目指し、今後の動向が注目されます。私たちの健康を守るための新たな進展に、期待が寄せられています。