株式会社産業革新投資機構(JIC)は、スタートアップおよび投資業界のガバナンス体制を整備し、ハラスメント防止に向けた新たな出資要件を制定することを発表しました。この取り組みは、JICが持つ官民ファンドとしての役割の一環であり、デジタル技術やイノベーションによる経済成長をサポートすることを目的としています。
JICはリスクマネーを供給することで、国内の投資エコシステムの拡大に寄与してきましたが、今後は出資先企業に対して行動規範・倫理規範に関しての遵守を求めることで、投資のプロセスにおいても透明性を確保しつつ、倫理的かつ健全なビジネス環境を育むことを目指します。
具体的には、出資先として検討されるファンドには、以下の8つの行動規範・倫理規範を守ることが求められます。
1. 倫理規定/法令順守
2. 顧客への忠実義務や受託者責任、利益相反防止
3. インサイダー取引の禁止
4. 贈答品や接待に関するルールの確立
5. 守秘義務の遵守
6. 内部通報義務や報告手順の確立
7. 雇用機会の均等
8. ハラスメント防止
ハラスメント防止規程においては、職場におけるハラスメントを禁止し、違反時の申し立て手続きの明確化を求めています。具体的には、職場環境を安全かつ敬意を持って尊重しあうものとするために、10の項目が定められたハラスメント防止規程の制定を求めています。この規程には、ハラスメントが起きた場合の申し立て手続きや、処分の内容についても詳細に明記されます。
JICの取り組みは、自社内のみならず業界全体への影響を与えるものとして位置づけられており、関係者とのコミュニケーションを進め、これらの規範が広く浸透するよう尽力する意向です。特に、ガバナンスや倫理に関する意識の高まりが期待されています。
さらに、JICはDE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の推進を重要課題として捉えており、専用の委員会を設置して、様々な施策を講じています。今年度も、女性の活躍推進を中心とした取り組みが評価され、「Private Equity Women Investor Network」の年間アワードを受賞しています。これにより、国内外の投資ファンドに対するモニタリングや業界団体との連携がより強化されることが期待されます。
JICは今後も、社会における責任を果たしながら、取引先である企業や組織へ対して持続可能な投資を推進していく姿勢を貫いていくことでしょう。持続可能な未来に向けて、投資業界全体がより透明で公正な環境を築くための努力が今後も一層重要となります。