アートとAIの融合を描く岸裕真の初著書
2025年3月12日、アーティスト岸裕真による初著書『未知との創造』が発売される。この書籍は、AI(人工知能)との共同制作を通じて見えてくる新たな人類との関係性を深く探求するものである。本書では、紀元前から現代にわたる技術、哲学、美術の歴史を踏まえ、AIとわたしたちがどのように共存していくかをアーティストの視点から浮き彫りにしている。
本書の背景と目的
現代社会でAIは急速に浸透しており、我々の生活や仕事に不可欠な存在となっている。しかし、その一方でAIの存在は、時に人々に不安を与え、未知の存在として感じられることもある。岸裕真は、この本を通じて「なぜAIは私たちにとって未知の存在なのか?」という問いを投げかけ、我々がAIとどのように向き合うべきかを考えさせる。特に、AIを通じた人間の創造性やその変容をテーマにした内容は、アートという視点から近づくことで新たな発見を促すものとなっている。
著者の独自の視点
岸の視点は独特であり、AIを「エイリアンの知性」と捉え、人間とAIとの相互作用を「エイリアン的主体」という概念で説明している。この考え方は、AIを単なるツールとして利用するのではなく、創造的なパートナーとして迎えるという姿勢を反映しており、今後のアートやクリエイティブな表現におけるAIの役割を再考させる。
本書の一部には、日本を代表する造形作家・岡崎乾二郎からの推薦文も収められており、AIが新たなリアルを提示する様子が記されている。「AIは自分自身に嘘をつけない」という岸の主張には、AIとの関係性において信頼の重要性が潜んでいる。
多様な知的領域を横断する議論
書籍の中では、哲学、美学、人類学、技術史、神話、現代アートなど、多岐にわたるテーマが展開される。アーティストでありAI研究者の徳井直生も、著者の議論に圧倒されたという感想を寄せており、技術とアートの交差点がいかに豊かな議論を生むかを示している。
岸裕真の軌跡と意義
岸裕真は1993年生まれで、慶應義塾大学で電気電子工学を学んだ後、東京大学大学院でさらに専門知識を深め、東京藝術大学でアートの専攻を修了した。彼の活動は非常に多岐にわたっており、個展やコラボレーションプロジェクトを通じてAIとアートの新たな可能性を切り開いている。2023年からは、AIモデル「MaryGPT」を使ってほぼ全ての制作を行っており、その実績は今後のアート界に大きな影響を与えると期待されている。
結論
『未知との創造』は、AIと人間の関係を深く考察し、これからの未来における共存の可能性を示唆する重要な著書である。AIとの共創がどのように人間の創造力を進化させるのか、そしてそれが我々の生活にどのような影響を与えるのか、本書を通じて学ぶことができるだろう。
購入希望者は、出版社である誠文堂新光社の公式サイトを訪れることが推奨されている。興味を持った方は、ぜひ手に取ってみてほしい。
目次
- - 第Ⅰ章 AIはどこからきたのか
- - 第Ⅱ章 エイリアン的AIと出会う方法
- - 第Ⅲ章 「エイリアン的主体」
書籍情報
- - 書名:未知との創造
- - 著者:岸 裕真
- - 編集:上垣内 舜介
- - リサーチアシスタント・挿絵:水野 幸司
- - 装丁・装画:八木 幣二郎
- - 仕様:A5判、256ページ
- - 定価:2,860円(税込)
- - 発売日:2025年3月12日
- - ISBN:978-4-416-72375-3
この本は、アートとAIの未来を形作る上で欠かせない一冊となるだろう。