新しい農業資材「スキーポン」を使用したブドウの試験開始
2025年4月21日、大阪府南河内郡太子町のJA大阪南 太子営農経済センターで、今注目の農業資材「スキーポン」を用いたブドウの試験散布が行われました。本試験は、大阪府の農業普及員や地元のブドウ農家の協力を得て、ブドウの育成を改善することを目的としたものです。乾燥や高温の厳しい環境下でも、健全な生育を促進するための実証的な取り組みと位置づけられています。
当日の試験には、当社社員をはじめ、JA大阪南の担当者、農業普及員、地域のブドウ生産者が参加しました。彼らは、現地における施用方法や今後の試験計画について説明を受け、重要な意見交換が行われました。
試験対象品種と地域の特色
試験では、シャインマスカット、巨峰、デラウェアの3品種が対象に選ばれました。特にデラウェアは、大阪府が全国で第2位の生産量を誇る品種であり、地域にとって非常に重要な存在です。JA大阪南の管内には400名近くのブドウ生産者が活動しており、品質向上への意欲が高い地域として知られています。
最近の気候変動により、当地では乾燥や高温の傾向が強まっています。これにより、成木(成熟したブドウの木)ではつるの成長が抑えられ、果実の肥大や色付きに問題が出たり、若木では収穫が遅れるケースが見受けられます。これらの課題を解決するため、スキーポンの効果を実証するフィールドテストが開始されました。
植物高温・乾燥耐性に向けた取り組み
試験では3軒の生産者が協力し、巨峰(成木)、デラウェア(成木)、シャインマスカット(若木)に対する灌注処理が行われました。7月初旬には、梅雨明けを見計らって2度目の散布も計画されています。その後は、大阪府の農業普及員が生育状況の観察を行い、収穫時の果実の太り具合や色付きの違いを通常栽培の区画と比較する予定です。
「スキーポン」とは?
「スキーポン」は、酢酸の特性を活かした新しい農業資材で、植物の耐乾燥性や耐高温性を高める役割を果たします。これにより、収量や品質の維持が期待でき、水の使用を抑える効果もあります。
アクプランタ株式会社の背景
アクプランタ株式会社は、創業者である金鍾明が立ち上げたアグリバイオスタートアップで、2017年に学術誌「Nature Plants」で発表された研究を基に、スキーポンを開発しました。気候変動に伴う農業課題への対策として、内外での実証試験に取り組んでいます。現在、スキーポンは国内外で広がりを見せており、特に米国やウガンダなど14カ国において高温・乾燥対策のテストが進行中です。
設立以来、アクプランタは数々の賞を受賞し、その信頼性と革新性を証明しています。農業現場のニーズに応じた持続可能な解決策を提供し、次の世代への農業の発展に寄与することを目指しています。
まとめ
今後もJA大阪南での「スキーポン」の実施を通じて、ブドウ栽培における冠水や高温対策が進むことを期待しています。地域の農家と共に成長する未来を目指して、アクプランタはこれからも新たな挑戦を続けていくでしょう。