メディア業界が協力して脱炭素化を推進する勉強会の開催報告
株式会社ハースト婦人画報社が2024年7月24日に開催したメディア勉強会は、温室効果ガス(GHG)の可視化を目指し、事業の脱炭素化に向けたCFP(カーボンフットプリント)算定に関する取り組みを共有する機会となりました。
このイベントでは、「感動を編集し時代を創る」というミッションに基づくハースト婦人画報社の取り組みについて多くの成果や課題が語られました。
CFP算定の意義
まず社長室ジェネラルマネージャーの池原亜矢子氏が、自社のCFP算定の目的を説明。顧客に商品の環境負荷を意識させ、削減への取り組みを促すことが主な目的であると言います。「GHGを知ることは削減の第一歩です。私たちのミッションとして、消費者に気づきを与えることが重要です」と語りました。
知識の共有は、業界全体での脱炭素化に向けた一歩です。ハースト婦人画報社は、自社の経験を生かして、他社も援助していく計画があります。今後、2026年までに広告出稿やイベント開催によるGHGの排出を実質ゼロにする『カーボンニュートラル広告プラン』を広告主に提供する目標を立てています。
CFP算定のプロセス
次に、社長室サステナビリティマネージャーの大竹紘子氏は、雑誌製造やイベントのCFP算定方法を詳しく説明しました。2023年に当社が発行した14の定期刊行誌を対象に算定した結果は、今後発行される雑誌にQRコード付きで掲載されます。読者が自らCFPの情報にアクセスできる仕組みを整えることで、一人ひとりが環境負荷に対する認知を高める狙いがあります。
サプライヤーとの連携の重要性
算定結果の精緻さを高め、削減策を反映させるためには、可能な限り一次データを使用することが必要ですが、データの取得には手間がかかります。大竹氏は、アメリカなどではCFP表記の義務化が進んでいるものの、日本ではまだその流れが十分ではないと指摘しました。理解度や取り組みの進捗においてサプライヤー間に差があるため、出来るだけ負担をかけない形で進めることが重要だそうです。
課題と次へのステップ
経営管理本部製作部の山本大輔氏は、CFP算定を通じて明確になった課題と、次に進むべきアクションについて説明しました。「初めてCFP算定を行う際、雑誌業界ではあまり事例が無く、手探りの状況でした。しかし、一度でも算定を行うと、課題がクリアになり今後の行動が変わりました」と述べ、行動意識が社員一人ひとりに及ぶ様子を伝えました。
このように、業界全体での協力を促すためにCFP算定を進めることが、持続可能な未来への第一歩と考えられています。
結論
ハースト婦人画報社は、イベントの影響をもとに今年の施策を見直しました。「昨年のイベントでは移動が大きな排出源だったため、公共交通機関への移動を推進しました」と説明するマーケティング部の徳田百香氏は、業界全体での協力による脱炭素の意義を強調しました。最後に、大竹氏は診断を続け、「CFP算定の実践を通じて、社員が自身の業務に対する理解を深めることに成功しました。」と、社内外での影響をまとめました。今後もハースト婦人画報社のさらなる取り組みから目が離せません。