日本初の大規模早漏調査の結果が明らかに
日本性機能学会が実施した、20〜79歳の日本人男性37,485人を対象とした大規模調査の結果、約25%の男性が早漏に悩んでいることが明らかになりました。この研究の関連論文は、『The World Journal of Men's Health』という国際的な学術誌に掲載されています。
調査の背景と目的
性機能障害の中でも、勃起障害(ED)については多くの研究が行われてきましたが、早漏に関しては日本国内での大規模な疫学調査が行われていなかったため、早漏の実態を知ることができませんでした。海外では早漏が一般的な男性の悩みの一つとして知られていますが、その有病率は3〜30%と幅があることから、信頼性のあるデータが不足しています。今回の調査は、日本人における早漏の実態を信頼性高い方法で明らかにすることを目的としています。
早漏とは何か
早漏(Premature Ejaculation, PE)は、性交中に望まない早さで射精してしまうことを特徴とし、具体的には以下の3つの要素から診断されます。
1. 性交時に早く射精すること
2. 自ら射精をコントロールできないこと
3. 精神的な苦痛が伴い、パートナーとの関係に悪影響を与えること
早漏には大きく2つのタイプがあります。一つは、性交開始からいつも早く射精する「先天性早漏(Lifelong PE, LPE)」、もう一つは以前は問題がなかったのに突然早くなった「後天性早漏(Acquired PE, APE)」です。
調査結果のハイライト
早漏の有病率
調査の結果、早漏に悩んでいる日本人男性は約23.4%でした。これは、国勢調査に基づけば約910万人が早漏の問題を抱えていることを示しています。
年代別傾向
調査結果では、20代の早漏の有病率が特に高く、年齢が上がるにつれて安定した値になっていくことがわかりました。特に30代から50代では、射精時間が3〜5分の割合が増え、60代以上ではさらに安定化しました。
悩みの度合いと射精時間
驚くべきことに、射精時間が3分以下の人々の中でも、13.4%は特に悩んでいないと回答しています。一方、3分を超える射精時間の中でも12.1%が早漏に悩む意向を持つことが確認されました。
早漏治療への関心
調査対象者の51.0%が早漏治療に関心を示す一方で、実際に受診したのはわずか4.8%という結果になりました。この結果は、早漏に対する治療の必要性と、それに対する恥ずかしさが受診率を低下させていることが影響していることを示しています。
最大の要因は勃起障害(ED)
調査の結果、早漏の主な要因として勃起障害が特定されました。特に、後天性早漏は心血管疾患や精神的な疾患とも関連があることが示されています。
今後の展開
今回の調査は日本人男性における初めての全国的な早漏に関する研究であり、その結果は性機能の問題が個人にとどまらず、幸せな性生活や社会全体に影響を与えることを浮き彫りにしました。今後、日本性機能学会としても、早漏に対する啓発活動や情報発信を強化し、より多くの人々が安心して相談できる環境づくりに努めていくことが求められます。
詳細な調査情報
この調査は2023年における日本の性機能に関しての大規模調査であり、調査の詳細は一般社団法人日本性機能学会の公式サイトで公開されています。日本の性機能の実態を把握し、改善に向けた一歩を踏み出すきっかけとなることを期待します。