三菱電機、VTTと海水由来のCO2回収技術を開発へ
三菱電機株式会社は、VTT Technical Research Centre of Finland Ltd.(以下、VTT)との協業を発表しました。この協力関係は、海水からCO2を直接回収する技術「DOC(Direct Ocean Capture)」の開発を共同で推進するものです。この覚書が締結されたのは10月7日で、両社はネイチャーポジティブな取り組みに貢献することを目指しています。
サステナビリティへの取り組み
三菱電機は、企業の経営方針としてサステナビリティを掲げ、社会的な課題の解決と同時に事業の成長を推進しています。特に、2050年には全バリューチェーンでの温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指しており、その中で技術革新によるCO2の削減と同時に、積極的なCO2の除去技術の開発も進めています。
VTTは、北欧最大の研究機関として、持続可能な成長に向けて多岐にわたる技術研究を行っています。今回の協業は、双方が持つ専門知識を融合させ、海洋生態系の改善に向けた画期的な成果をもたらすことが期待されています。
海水からのCO2回収の可能性
海水からCO2を回収する技術は、海洋の酸性化を緩和し、漁業などにもプラスの影響を与える可能性があるとされています。酸性化とは、大気中のCO2が海水に溶け込み、その水質が酸性に寄ってしまう現象を指しますが、これを解決することは喫緊の課題です。三菱電機とVTTの技術開発は、カーボンニュートラルを達成し、自然への配慮を深めるための重要なステップといえるでしょう。
両社の期待
VTT副社長のAntti Arasto氏は、今回の協業に対して「私たちの共同目標は海洋生態系を大幅に改善することであり、それに向けた革新的な挑戦を楽しみにしています」とコメントしています。また、三菱電機 サステナビリティ・イノベーション本部長の小黒 誠司氏も、「この協業により、社会的な課題解決に向けた取り組みを一層加速できる」と語っています。
今後、DOCの早期社会実装に向けた開発が進められ、VTTとの連携でグローバルな社会課題の解決を図っていく方針です。これは、単なる技術開発にとどまらず、持続可能な未来を見据えた重要な一歩となるでしょう。
まとめ
三菱電機とVTTの協業は、海洋環境への配慮と地球温暖化対策という二つの課題を同時に解決することを目指しています。この新しい技術の開発が進めば、より持続可能な社会の実現に向けた大きな前進となることでしょう。